ユーザー車検のすゝめ
カスタムやチューニングをしなくても、ガソリンや税金など、ただ乗っているだけでお金が掛かってしまうのがクルマですよね。
とくに通常2年に一度、必ずやってくる車検は多くの人にとって頭を悩ませるとともに、お財布を寂しくさせるもの…。
「あんた!なんでこんなに高いの!」
先日、某大手カー用品ショップで、そう奥さんに怒られる旦那さんを見ました。
「仕方のないことなんだよ」そう反論していましたが、本当にそうなのでしょうか?
車検が高いということは、仕方のないことなのでしょうか?
自動車に関する登録は運輸支局で行われる
車検を安く済ませることができたなら!誰もが思い描く、そんな夢。
今回のコラムは、そんな夢を叶えるコラムです。
そう!今回ご紹介するのは『ユーザー車検』!!
ユーザー車検に焦点を当てて、準備するものや、車検当日の流れ、筆者が実際にユーザー車検を通して感じた注意点などご紹介したいと思います。
平日に時間の取れる方はぜひこのコラムを参考にユーザー車検にチャレンジして、次回の車検代をドーンと節約しちゃってください♪それではさっそく本編に移ります。
筆者が実際に受けた車検費用の明細(抜粋)。税金に加えて様々な費用がかかるが分かる
≪ 準備編 ≫
①:車検はどこで受けるのか?
クルマのオーナーが自分で車検を受ける「ユーザー車検」
それはわかっているけど、車はどこに持っていけば良いんだ!?
・・・と、いう疑問を抱いた方も、少なくないはず。
答えは簡単で、全国どこの運輸支局でも受けることが可能です。
もちろん、登録ナンバーの運輸支局でなくても大丈夫!最寄りの運輸支局で受けましょう。
(ただし、軽自動車の場合は軽自動車検査協会というものがあり、扱いが異なるので事前に注意が必要)最寄りの運輸支局がわからない場合、国土交通省のホームページで紹介があるので確認しておくこと!
また、運輸支局は基本的にお役所と同じ時間体系です。
土日はやっていないことがほとんどなので、注意しましょう。
北大があるエリアを管轄する、札幌運輸支局
②:車検当日までの準備書類
車検を受けるためには必ず準備しなければならない書類がいくつかあります。
当日用意する書類もありますが、事前に用意しなければならないものもあるので、以下にまとめました。
確認しておきましょう。
【事前に用意しなければならない書類】
1.現在の車検証
2.自動車税納税証明書
3.自賠責保険証(新旧2枚)
4.24か月定期点検記録簿(ただし「後整備」という条項によりなくても良い)
【当日に用意しなければならない書類(継続検査の場合)】
1.継続検査申請書(3号様式)
2.自動車検査票(手数料分の印紙貼付)
3.自動車重量税納付書(印紙貼付)
③:車検当日までの車両の準備
車検後の後整備は認められていますが、そのままの状態で検査ラインに並ぶのはさすがにマズイ!ということで、自分でできる事前チェック5項目を紹介します。
1.車体番号の位置の確認
車検時には検査官による車体番号の照合が行われます。
車体番号の位置を分かっていないと検査がスムーズに行えずあたふた…なんてことも。
あらかじめチェックしておきましょう。
多くの車はエンジンルームのバルクヘッドに刻印されていますが、その他にも運転席の下などに刻印されている場合があるので要注意です!
運転席のフロアーマットをめくって…
デミオの打刻された車台番号が確認出来ます
2.下回りをきれいに
車検時には下回り検査も行われます。
このとき、オイルの滲みや、過度に汚い場合は指摘されてしまうことも。
あらかじめブレーキクリーナーなどでオイル汚れをふき取ったり、下回りを洗車しておきましょう。
このときドライブシャフトブーツやタイロッドエンドブーツの破れや裂けがないか確認しておきたいところです。
下画像はトヨタ・ヴィッツの左フロント付近のドライブシャフトブーツです。
これが破損すると中のグリスが外に漏れだすのでわかる。
その場合車検は通らないので注意が必要ですね。
また、マフラーの排気漏れがあれば、市販の「マフラー包帯」などで補修することも可能です。
ヴィッツ左フロントのドライブシャフトブーツ
3.ウォッシャー液及びワイパーゴム
ウォッシャー液が出るかどうかの検査もあるので、十分量継ぎ足しておくこと!
ノズルが詰まっているとちゃんと液が出ないため、要確認ポイントですね。
ウォッシャー液の検査の際に、ちゃんとワイパーがふき取れるかもチェックされています。
ワイパーゴムの交換もやっておくこと!1000 円もかからないはずです。
4.発煙筒の有無と使用期限
車載が義務付けられている発煙筒。
これがないともちろん車検には通りません。また、あったとしても使用期限が切れているとダメです!
もちろん、車検満了時まで有効期限が無いとダメなので、確認しておきましょう。
助手席の足元あたりに、発煙筒が常備されている
発煙筒の側面には、使用有効期限が記載される
5.ホイールキャップは外そう
車検時にはホイールナットの状態も確認します。
ここでホイールキャップがついていると慌てて外すハメになります。
あらかじめ外した状態で車検に臨みましょう。
④:検査の予約
ある程度準備が済んだら、車検の予約をします。
国土交通省の自動車検査法人のサイト内にある、「自動車検査インターネット予約サービス( https://www.yoyaku.naltec.go.jp/pc/reservationTop.do )」から予約が可能で、希望日の2週間前から可能です。
このとき検査のラウンドが選べますが、再検査になった時のことを考えて、早めのラウンドに入れた方が良いでしょう。
なぜなら、その日のうちに直せる車検項目で指摘を受けた場合、再整備して受け直しが出来るためです。
≪ 当日の流れ編 ≫
準備が完了し、満を持して車検場に来たのは良いものの、流れが分からず慌てる… 初めてのユーザー車検にはつきものです。
そこであらかじめ流れを把握しておくことで、ドヤ顔で検査ラインに並ぶことが可能になります!
最近はユーザー車検利用者が増え、検査員の方もそれを分かっていますが、未だに素人が車検場に来ることを良く思わない人たちもいます。
スムーズな検査を行うためにも、流れは頭に入れておきましょう。
(僕は素人感丸出しで行きましたが、丁寧に指導していただけました)
基本的には検査表示機での指示があるので、焦らずに検査を受ければ大丈夫ですが、以下に順を追って説明してゆきます。
①:予備車検場(テスター屋さん)に行く
車検場の近くにはテスター屋さんと呼ばれる予備車検場が必ずあります。
ここではあらかじめサイドスリップ(直進安定性)やライトの光軸、排ガス検査をしておきましょう。
光軸がズレている場合は調整もしてくれます。
料金は場所による差はありますが、1500~5000 円といったところです。
テスター場。車検レーン同等の検査が可能
②:提出書類を揃える
事前準備書類とは別に、当日その場で記入する書類もあります。《準備編》にも記載しましたが、
【事前に用意しなければならない書類】
1.現在の車検証
2.自動車税納税証明書
3.自賠責保険証(新旧2枚)
4.24か月定期点検記録簿(ただし「後整備」という条項によりなくても良い)
【当日に用意しなければならない書類(継続検査の場合)】
1.継続検査申請書(3号様式)
2.自動車検査票(手数料分の印紙貼付)
3.自動車重量税納付書(印紙貼付)
これらを用意します。
書類の作成を代行してくれる代書屋と呼ばれる、行政書士さんが車検場の近くの自動車会館等に常駐しているので、委託しても良いでしょう。
その場合、手数料として数千円かかります。
③:車検の受付
自分で書類を用意する場合、所定の窓口にて検査手数料や重量税、自賠責保険などを支払います。
これらを済ませ書類を受付に渡し、検査ラインに並びましょう。
ここで時間を食うと予約したラウンドに間に合わない可能性もありますので、余裕を持った時間配分を心掛けましょう。
④:検査ライン
検査ラインが指定されたら(例えば第3 レーンなど)、そこに車を並べて待ちます。
このとき、検査ラインを見学したい場合、事前に受付に行っておくと見学することが可能です。
緊張しますが、自分の番がやってくるまで落ち着いて待ちましょう。
札幌陸運支局の検査レーン。中にはテスター機が並んでいる
⑤:外観チェック
まずは車両の確認が行われます。
書類と車体番号、エンジン型式などを照合します。
灯火類やワイパー、ウォッシャー液の動作をチェックします。
発煙筒などといった車内装備の確認に移ります。
また、マフラーをスポーツタイプにしている場合は排気音の検査が行われます。
車高が低い車は最低地上高のチェックも行われます。
これらは当然、道路運送車両の保安基準を満たしている必要があります。
⑥:サイドスリップ・ブレーキ・スピードメーター・ライト光軸検査
外観が終われば機械によるテストが待っています。
車を機械に乗せると、前方にある検査指示器に指示が出ますのでそれに従えば大丈夫!
まずはサイドスリップでトーの状態を確認。
その後にブレーキの利き具合をチェックします。
次にローラーの上に乗った状態でスピードメーターのチェックです。
ローラーの上で車速を上げていき、40km/h でパッシング、といった内容で、実際の速度との誤差を調べます。
ライトの検査では機械が光軸をチェックします。
これらも外観チェック同様に、道路運送車両の保安基準を満たしている必要があります。
⑦:排ガス検査
車検証の車両型式に従って、排ガス検査のボタンを押します。
例えばカローラレビン(E-AE111) なら、E-という旧排ガス規定となります。
これもその場で指示がありますが、マフラーのなかにプローブといわれる排ガスを測る棒のようなものを入れて検査します。
排ガス検査が終わり、合否判定がでたら検査票を記録してもらいます。
⑧:下回り検査
検査員が下回りを見ながら、オイル漏れやブーツ類の破れ、マフラーの排気漏れをチェックします。
長い棒で下回りをコツコツ突きながら見ていきます。
⑨:総合判定
①~⑧までが終われば、検査ライン出口の窓口にいる検査員に結果を記録してきた検査票を提出します。
無事に合格すれば合格印をもらった検査票を「継続検査窓口」に提出し、新しい車検証を交付してもらうだけです。
もし不合格の場合、どこがダメだったのか細かな指摘事項と、アドバイスがもらえるので、それに従って再度チャレンジしましょう!
いかがでしょうか?
ご自分でやってみるやる気がみなぎって来た方もいるのではないでしょうか。
ラストはよくある落とし穴です。 ここでつまずく人も多いのでしっかり確認しましょう!
≪よくある落とし穴≫
車検を受けるにあたって不合格の原因になるものの代表がヘッドライトです。
ライトは車のオーナー自身が手軽にカスタマイズできる分、気づかぬ落とし穴となりやすいので注意が必要です。
よく、バルブをHIDやLEDに変えた車を見ますが車検は通るのでしょうか?
実はハロゲンバルブをHID・LEDに変えることは問題のないことです。
しかし大事なのは光軸と色温度です。
自身でバルブを変える際に光軸がズレたり、車検に適合しない色温度を選んだりしがちです。
4000~6000ケルビンが車検対応の目安ですので、HID・LEDに換装の際は注意してください。
また、もともとリフレクター付きのヘッドライトにHIDを後付けすると散光して車検に通らないこともあるので、車検時にはハロゲンに戻すなどの工夫が必要です。
また、車高の低さが気になるオーナーさんも少なくないのではないでしょうか。
最低地上高はだいたい9cmとなっていますが、実は灯火類を組み込まれていないエアロパーツだとその例には当てはまりません。
つまりリップやサイドステップで車高が低く見えても、それらに灯火類が組み込まれていなければ対象外で車検OKなのです。
エアロパーツをつけた車のオーナーさんは参考にしてくださいね。
~ さいごに ~
以上で、筆者が実際に体験した、ユーザー車検と、そのすゝめを終えます。
今までディーラーやカー用品店で車検を受けていた方、もっと節約したいと思ったときにはこのコラムを参考にぜひユーザー車検にチャレンジしてみてください。
誰にでもユーザー車検の門は開いて待っています。
やろうと思い立った時がやるときです。
また改めて愛車をじっくりと見ることで、愛車の状態をチェックする良い機会になること間違いなしです。
車検を機に愛車との絆を深めてみるのも良いのではないでしょうか。
最後に、車には重要保安部品などの分解整備を必要とする箇所は、整備士資格を持つ方による指導・点検が義務付けられている部分もあります。
整備したつもりが、壊していたなど無いように、自動車の整備は必ず自己責任で行ってくださいね。
(執筆:北海道大学自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)