運転免許は、今や多くの日本人がもっている資格ではありますが、運転免許において, イマイチぴんと来ないことがある人は、多いのではないでしょうか。
運転免許証に記載されている事項を始めとして、交通違反内容や、免許証更新についてなど、運転免許に関する事項について、以外と知らない、でも知っておくべきことを、見ていきましょう。
免許証サンプル
まず、運転免許証についてみていきましょう。
免許証に書かれている情報については、上から順に、
などが記されています。
ここで、皆さんが一度は抱く疑問がありますよね。
それは、「12桁の番号は一体何なのだろうか」ということです。
まずは、この数字について説明します。
最初の2桁 | 免許所持者が最初に免許交付を受けた公安委員会の都道府県を表す。※1 |
---|---|
3、4番目の2桁 | 最初に運転免許証の交付を受けた、西暦の下2桁 |
5~10番目の6桁 | 都道府県公安委員会で、交付や管理に利用する数字 |
11番目の1桁 | 入力ミスを確認するための、計算式による算出数字で、チェックデジットと呼ばれる。 |
12桁目の1桁 | 運転免許証を紛失した回数。ただしこれは、10回目で再び1に戻ります。 |
※1 原則として、各都道府県の1つの公安委員会に、それぞれ番号が付されています。
しかし、北海道だけは、5つの異なる公安委員会に、それぞれ異なる番号が付されています。
ちなみに、生年月日の後ろの5桁の数字は、警察の照会ナンバーです。
警察間で、円滑に情報のやり取りを行うために、使用されています。
次に、2020年現在の免許資格について見ていきます。
種別 | 受験資格 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
---|---|---|---|---|
普通 | 18歳以上 | 3.5トン未満 | 2トン未満 | 10人以下 |
準中型 | 18歳以上 | 3.5トン以上 7.5トン未満 |
2トン以上 4.5トン未満 |
10人以下 |
中型 | 20歳以上 運転経験2年以上 |
7.5トン以上 11トン未満 |
4.5トン以上 6.5トン未満 |
11人以上 29人以上 |
大型 | 21歳以上 運転経験3年以上 |
11トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
最近免許を取得した人の多数はご存知ないでしょうが、平成19年6月1日以前に、普通免許を受けている人であれば、8トン未満の自動車(2020年現在で言うところの、一部の中型自動車・全準中型自動車を含む)も運転でます。
また、平成19年6月2日から平成29年3月11日以前に普通免許を受けている人なら、5トン未満の自動車(2020年現在で言うところの、一部の準中型自動車を含む)も運転できます
次に免許証に記されている帯のカラーについて見ていきます。
カラーの種類は皆さんもご存知の通り、ゴールド・グリーン・ブルーの3色です。
ゴールド 優良運転者 |
免許を受けている期間が5年以上で、更新前の過去5年間において無事故・無違反であった運転者。 |
---|---|
グリーン 新免許取得者 |
免許取得から3年後の最初の更新を迎えるまでの期間の運転者。 ただし、初めての更新期限より前に、中型や大型など上位免許を取得すると、3年間の有効期限を満たさなくてもブルーの免許に切り替わる。 |
ブルー 初回更新者 一般運転者 違反運転者 |
初回更新者のうち、軽微な違反が1回以下の人は初回講習を受け、ブルーが付された免許を交付されます。 一般運転者とは、過去5年間において軽微な違反を1回のみした運転者を意味します。 上記以外の運転者は違反運転者になります。 |
では、違反運転者について考えていきましょう。
違反運転者とは、過去3年間の交通違反・事故などの違反行為を行い、点数をつけられた運転者を意味します。
違反行為には、悪質で危険度の高い「特定違反行為」とそれ以外の「一般違反行為」があります。
違反点数の基礎点数
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)123頁
これは、違反点数の基礎点数を表しています。
特定違反行為には、運転殺人・危険運転致死・酒酔い運転など、違反点数が35点以上の行為が該当します。
一方で、一般違反行為は、違反点数が25点以下の行為を示します。
また、交通事故を起こした場合は、原因となった違反行為の基礎点数に、交通事故の種別に応じた付加点数が加えられます。
付加点数の一覧は以下を参照してください。
【表1】交通事故における付加点数
交通事故の種別 | 責任の種別 | 点数 |
---|---|---|
死亡事故 | 重 | 20 |
軽 | 13 | |
治療期間3ヶ月以上、 又は後遺障害が有 |
重 | 13 |
軽 | 9 | |
治療期間30日以上3ヶ月未満、 又は後遺障害無 |
重 | 9 |
軽 | 6 | |
治療期間15日以上30日未満、 又は後遺障害無 |
重 | 6 |
軽 | 4 | |
治療期間15日未満、 又は建造物損害事故 |
重 | 3 |
軽 | 2 |
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)114頁
【表2】ひき逃げ、あて逃げによる点数
ひき逃げ、あて逃げ | 点数 |
---|---|
ひき逃げ(人身事故) | 35(基礎点数) |
あて逃げ(物損事故) | 5(付加点数) |
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)114頁
これらを具体例を見ていきます。
1つ目の例は、故意に事故を起こし、被害者を死亡させてしまった場合です。
この場合は付加点数によらず、運転殺人等の基礎点数62点のみが、違反点数となります。
2つ目の例は、運転中の運転者のもっぱらの不注意で、1番軽度の障害事故を起こした場合です。
安全運転注意義務違反の基礎点数2点(【写真2】)と、交通事故による付加点数3点(【表1】)で合計違反点数は5点となります。
3つ目の例は、0.15mg/l以上0.25mg/l未満の酒気帯び運転で、死亡事故を起こし、ひき逃げをした場合です。
酒気帯びの安全運転義務違反の基礎点数14点(【写真2】)と、救護義務違反の基礎点数35点(【写真2】、【表2】)、運転者の責任が重い理由の付加点数20点(【表1】)から、合計違反点数は69点となります。
次に、前歴と違反点数に応じて課される、免許証の処分について見ていきましょう。
過去3年以内の運転免許の停止の回数によって、運転免許の停止または取消しに至る点数は異なります。
以下の表を参照してください。
【表3】一般違反行為による処分基準 (単位は年)
処分内容 | 免許の停止 | 免許の取消し | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
前歴の回数 | 1(3)年欠格 | 2(4)年欠格 | 3(5)年欠格 | 4(5)年欠格 | 5(5)年欠格 | |
前歴なし | 6~14 | 15~24 | 25~34 | 35~39 | 40~44 | 45以上 |
前歴1回 | 4~9 | 10~19 | 20~29 | 30~34 | 35~39 | 40以上 |
前歴2回 | 2~4 | 5~14 | 15~24 | 25~29 | 30~34 | 35以上 |
前歴3回 以上 |
2又は3 | 4~9 | 10~19 | 20~24 | 25~29 | 30以上 |
※()の年数は、免許の取消し・拒否を受けた者が、欠格期間終了後の5年以内に再び取消し・拒否を受けた場合の欠格年数を示す。
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)115頁
【表4】特定違反行為による処分基準 (単位は年)
処分内容 | 免許の取消し | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
前歴の回数 | 3(5) 年欠格 |
4(6) 年欠格 |
5(7) 年欠格 |
6(8) 年欠格 |
7(9) 年欠格 |
8(10) 年欠格 |
9(10) 年欠格 |
10(10) 年欠格 |
前歴なし | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 50~54 | 55~59 | 60~64 | 65~69 | 70以上 |
前歴1回 | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 50~54 | 55~59 | 60~64 | 65以上 | |
前歴2回 | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 50~54 | 55~59 | 60以上 | ||
前歴3回 | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 50~54 | 55以上 |
※()の年数は、免許の取消し・拒否を受けた者が、欠格期間終了後の5年以内に再び取消し・拒否を受けた場合の欠格年数を示す。
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)115頁
また、違反点数または前歴の計算において、特例が認められる場合があります。
・免許を受けていた期間が1年以上かつ、その期間において無事故・無違反の場合
→それ以前の違反や事故の点数は加算されない。
・免許を受けていた期間が2年以上かつ、その期間において点数が1点〜2点(*)の軽微な違反行為をした場合で、その日からさらに3ヶ月間無事故・無違反の場合
→(*)の点数は加算されない。
・運転免許停止などの前歴がある場合でも、その後1年以上において無事故・無違反で、運転免許の停止も受けなかった場合
→それまでの運転免許の停止などの回数は前歴0回とされる。
では、具体例をみていきます。
免許処分(停止)前歴がない人が、速度超過(15km未満)と合図不履行、追い越し違反、赤信号無視を行なった場合、【表1】より1+1+2+2で合計違反点数6点となり、免許停止処分となります。
すでに免許停止処分を2回受けている人が、横断歩行者妨害等を行った場合は、【表2】より違反点数は2点となり、3度目の免許停止処分となります。
次に、運転免許試験に合格した人であっても、免許を拒否、あるいは6ヶ月を超えない範囲で保留されたり、免許を受けたものでも免許の取消しを受けたり、あるいは免許の効力が停止されることがありますが、その要因についてみていきましょう。
一例を次に挙げます。
統合失調症、躁うつ病や重度の睡眠障害など、心身の障害により、車の運転に影響を及ぼす可能性のある人、交通違反や事故を起こした人、重大違反唆し等を行なった人、道路外致死傷を行なった人、救護義務違反をした人、酒酔い運転や麻薬等運転を行なった人などが挙げられます。
重大違反唆し等とは、自分では運転していないものの、運転者を唆して、酒酔い運転や麻薬等運転などの、重大違反を行わせる行為です。
このように、違反運転者だけでなく、違反運転者に、違反運転をするきっかけを与えた人にまで、運転免許の資格を与えないのです。
初回更新者においては、適性試験を受けた日の後の、3回目の誕生日から1ヶ月を経過するまでの期間です。
優良運転者及び一般運転者においては、継続して免許を受けている期間が5年以上あり、過去5年間に無事故、無違反又は軽微な違反を1回のみした者は、原則有効期間は5年となります。
違反運転者においては、継続して免許を受けている期間が5年以上あり、過去5年間に事故を起こしたり、重大違反や、2回以上の軽微な運転をした者は、有効期間が3年になります。
運転免許の更新を受けなかった場合は、効力を失われ、免許試験を行う必要がありますが、次のような場合は、免許試験の一部が免除されます。
病気や海外旅行などの、やむを得ない理由により、免許の失効後6ヶ月以内に、免許試験を受けられなかった場合は、その事情を終えた日から1ヶ月以内に、その事情を証明する書類とともに申請し、適性試験に合格すれば免許証が交付されます。
ただし、免許証の有効期間が満了した日から、3年を超えてはなりません。
また、やむを得ない理由がなくても、免許失効した日から6ヶ月以内に、適性試験に合格すれば、免許証が交付されます。
運転免許の基本的な事項について、運転免許証、違反行為内容、免許証の処分行為、免許証の有効期間の順にみていきましたが、意外とはっきりわかっていなかったことが、いくつかあったのではないでしょうか。
運転免許は、自動車を運転するにあたって重要な、必要不可欠な国家資格ですので、正しく理解し、正しい運転を行い、楽しいカーライフを送りましょう!
こういった心構えも大事です
ルールを守り、楽しいカーライフを
参考:学科教本(一般社団法人 北海道指定自動車教習所協会 編集/発行)
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17242440
https://www.pref.tottori.lg.jp/115377.htm
https://www.toyoshima-k2.jp/14428199270587
執筆:北海道大学自動車部2年目