案外知らない自動車に関する税金の話
こんにちは。名古屋大学自動車部です。
日本国憲法に定められた“国民の三大義務”って覚えていますか?
・教育の義務
・勤労の義務
・納税の義務
が、日本国民の3つの義務ですよね。
自動車を所有していると言う事は、納税の義務を果たすことでもあります。
自動車は、最初の購入時に
・取得税
・消費税(車両本体に対する)
車検時に、
・自動車重量税
そして自動車を所有し、乗り続けていると発生するのが
・ガソリン税/軽油取引税(揮発油税)
毎年5月に来るのが、
・自動車税
と、沢山の納税義務を果たしている事になります。
本コラムでは、その自動車税とガソリン税について紐解いてゆきます。
自動車税の納付はコンビニでも可能に!
今私が、この文章を書いているのは4月です。
来月の5月には自動車税の納入があります。
私のような学生には数万円はかなりの痛手です。
しかも自動車税は、毎年払わなければいけないので大変です。
私の愛車の排気量は“1600cc”で、45,400円を納入する予定です。
しかし私の車と同じ“1,501cc~2,000cc税制区分”である、2,000ccクラスの一部のエコカーでは、新車購入後一度だけは10,000円で済んでしまったりします。
なんと4倍以上も違います。
なぜ?こんなにも差があるのでしょうか。
今回は、ややこしくて案外知らない自動車に関する税金について調べました。
ハイブリッドカーの納税通知書
愛車CJ4A型ミラージュの納税通知書
上記の画像は、「ハイブリッドカーの納税通知書“グリーン化概ね75%軽課”」と、
私の愛車「CJ4A型ミラージュの納税通知書“グリーン化概ね15%重課”」です。
2017年の、通常の自動車税額は、
1,000cc以下:29,500円
1,001cc~1,500cc:34,500円
1,501cc~2,000cc:39,500円
2,001cc~2,500cc:45,000円
2,501cc~3,000cc:51,000円
3,001cc~3,500cc:58,000円
3,501cc~4,000cc:66,500円
4,001cc~4,500cc:76,500円
4,501cc~6,000cc:88,000円
6,001cc以上:111,000円
です。
しかし画像の納税通知書の場合、ハイブリッドカーの納税額は9,000円ですし、ミラージュの納税額は45,400円となっており、通常の自動車税額の相違しています。
どうして、そんな事になっているのでしょうか?
自動車税は自動車を所有している限り毎年払わなければいけないものです。
また、新車を購入するときにも支払い義務があります。
2017年現在、日本には自動車のグリーン化特例と呼ばれるものがあります。
簡潔にまとめると、ハイブリッド車などの環境にやさしい車の自動車税を減税し、新車新規登録後一定年数を経過した車(つまり古い車です)の自動車税を増税する制度です。
この制度は「エコカー減税」と呼ばれるものとは別の制度で、平成14年度から実施されています。
「エコカー減税」とちがうのは、自動車重量税ではなく自動車税に関する制度であることと、新しい車の減税だけでなく古い車の増税もされてしまうところでしょう。
(図1)普通乗用車に適用される自動車税のグリーン化特例
(図2)軽乗用車に適用される自動車税のグリーン化特例
普通乗用車と軽乗用車のそれぞれの税金の軽減率、重課率をまとめてみました。
※貨物用で登録された車は軽減率、重課率が違います。
始めの二つの例を思い出してみましょう。
自動車税は排気量によって税額が変わりますが、2,000ccクラスの車は39,500円が本来の税額です。
図1を見ればわかるように、
・排ガス規制を大幅にクリア
・平成32年度燃費基準 + 30%達成車
ならば初回のみ75%軽減されます。
従って、39,500円×0.25の計算後、端数を切った“10,000円”となっていたわけです。
また、私の愛車CJ4A型ミラージュは平成8年式です。
図1に照らし合わせると
・13年以上経過車
・15%重課
となるので、39,500円×1.15の計算後、端数を切った“45,400円”となっていたわけです。
税額に、4倍以上の差が生まれていたのはこのためだったのですね。
ここで注意するべきは税金の軽減、つまり減税は
【新車購入後初めての自動車税納入の時】
にしかされず、それ以降は通常通り税金を納めなければならないという点です。
なぜ新車購入時の自動車税が軽減されないのでしょうか?
それは、新車購入時の税金は月割りで払うから、ということでしょう。
つまり、2,000ccクラスのエコカーの場合
・初回の自動車税は、75%軽減されて10,000円で済む
・初回以降は、本来の39,500円を払い続けなければならない
ということです。
それとは逆で、重課は車を所有し続ける限り続きます。
つまり私は、来年も再来年も15%増しの45,400円を納め続けなければならないということです。
古い車は大変です。
では数年前から、よく耳にする「エコカー減税」とはいったい何なのでしょうか。
エコカー減税とは、2009年に開始された制度で、燃費基準をクリアした車の
・自動車取得税
・自動車重量税(主に車検を受ける際にかかります)
を減税、もしくは免税する制度です。
また、電気自動車なども免税になります。
重量税は新車購入時と初回車検時の“2回減税”が適用されます。
緑色の丸いのが、燃費基準達成ステッカー
平成32度までの燃費基準達成ステッカー
当初、エコカー減税施行時の2009年は、2013年3月までの予定だったのですが、その予定期間が終わるたびに延長されています。
2017年4月にも2年の延長がなされており、
取得税 : 2017年4月1日~2019年3月31日
重量税 : 2017年5月1日~2019年4月30日
の期間はエコカー減税が適用されます。
ただ、延長はされたものの、減免要件(減税や免税がされる基準)は、2017年以前よりも1年毎に厳しくなっていきます。
「新車で購入したときには自動車重量税が免税だったのに今回の車検は75%減税されるだけ」なんてこともあり得ます。
このあたりは、とてもややこしいので一度ご自分で愛車の税金がいくら減税されるのか、もしくはされないのか、調べてあげるといいかもしれないですね。
以下の、国土交通省のウェブサイトから車種、類別区分番号まで絞って調べることが出来ます。
調べる際は、お手元に車検証の準備をお忘れなく。
減税対象自動車一覧(平成29年5月1日以降に新車新規登録等した自動車)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000063.html
減税対象自動車一覧(平成27年5月1日から平成29年4月30日までに新車新規登録等した自動車)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000042.html
減税対象自動車一覧(平成27年4月30日以前に新車新規登録等した自動車)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000030.html
調べてゆきますと。最終的に上記のような表が出てきます。
一口にA05A型ミラージュと言っても減税率が年式などで変わります。
因みに私の愛車のCJ4A型ミラージュは記載されていません…
(20年前の車だし当たり前?)
これは余談ですが、自動車税を払わないとどうなるのでしょうか?
納期限(中略)後にその税金を納付する場合においては、当該税額に、その納期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該納期限の翌日から一月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した金額に相当する延滞金額を加算して納付しなければならない。
(地方税法より引用)
これは、納期限を過ぎて自動車税を払うときの“延滞金”についての条項です。
読めばお分かりかと思いますが、滞納すればするほど“滞納金”は大きくなっていきます。
「私は、それでも払わないぞ!!」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方には督促状が届きます。
それでも払わない方には、差し押さえが待っています。
具体的には、“督促状”が発行された日から、10日以内に税金が納付されなければ
「差し押さえをしなければならない」
状態となります。
実際に、車のタイヤにロックをして動けなくするという措置が取られたこともあります。
そこまでは行かなくとも、自動車税が納められていないと車検が受けられません。
法を遵守し車に乗り続けようとするなら(しなくてもですが)、自動車税はちゃんと期限までに支払いましょうね。
…高いですけど(笑)。
自動車を所有し、乗り続けていると発生するもう一つの税金が“揮発油税”です。
揮発油税とは“ガソリン”と“軽油”(以下便宜上ガソリンとよぶ)にかかる税金です。
灯油に関しては、免除されています。
自動車税を無事に支払っても、日々のドライブに燃料を入れなければ自動車は走りません。
ガソリンスタンドで燃料を入れて支払う時に、支払う税金です。
揮発油税は従量税(物の量に従って税金が掛けられる)で、
「揮発油一キロリットルにつき二万四千三百円とする
」
と揮発油税法で定められています。
要するに、
・ガソリン1リットルあたり24.3円
の、税金がかかるというわけです。
さらに地方揮発油税というものがあります。
そちらは、
・ガソリン1リットルあたり4.40円
と、定められています。
以上の二つの税金をあわせて、
・28.3円を俗にガソリン税と呼ばれています。
(沖縄県では5.5円減税されています)
では、ガソリン1リットルのうち本当に28.3円だけが税金かというと、それは違います。
なぜなら… 現在は“暫定税率”というものが定められているからです。
平成二十二年四月一日以後(中略)の税額は、(中略)当分の間、揮発油一キロリットルにつき、揮発油税にあつては四万八千六百円の税率により計算した金額とし、地方揮発油税にあつては五千二百円の税率により計算した金額とする。
(租税特別措置法)
とあるように、『当分の間』
・揮発油税は本来の24.3円から2倍の48.6円/L
・地方揮発油税は本来の4.40円から0.8円増しの5.2円/L
となっています。
従い、合わせて
・53.8円/Lがガソリン税
です。
“暫定的”なので、いつかは元通りになるはずです。
余談ですが、“暫定税率”は1974年に制定されました。
前に一度、2008年3月末に期限切れで失効しました。
しかし、その一か月後の5月の始めに、暫定税率は復活しました。
この間の、2008年の4月は暫定税率が失効していたために、約25円ガソリンが安くなっていました。
その時私は小学生でしたが、4月末にガソリンスタンドに渋滞ができたことは、はっきりと覚えています。
それだけインパクトがありました。
閑話休題。
ガソリン欠になる前に給油は必要
では、ガソリン1リットルのうち本当に53.8円だけが税金かというと、それも違います。
これは有名なお話かもしれませんが、ガソリンには消費税がかけられているのです。
ガソリンの値段は
(原価+揮発油税+地方揮発油税)×1.08(消費税を8%とする)
で求められます。
ここでよくされる議論がそれって二重課税なんじゃないの?
というものです。
ガソリン税を含んだ金額に消費税を課しているからです。
私も“税金に税金がかかるのはおかしい”と思わないでもないですが、それよりまず暫定税率をやめてもらいたいものです。
累計40年以上存在していて当時と物価もちがうので、このままずっとなくならないような気もしますが・・・
さて、ではガソリン1リットルに含まれる税金が、いくらなのか!?
ガソリンの値段を1リットル130円として計算してみますと、
・揮発油税:48.6円
・地方揮発油税:5.2円
・消費税(8%):約9.6円
合わせて、
・63.4円がガソリン1リットルあたり
に、ふくまれる税金となります。
つまりガソリンの値段の約半分は“税金”だったのです。
これを高いとみるか安いとみるかは人次第ですね。
私は高いと感じます。
ここまで、日本の自動車に関する税金についてみてきました。
古い車に乗っている私が感じたのは、
『自動車部や若者には、優しくないな』ということです。
一部では日本の自動車税はアメリカの何十倍と言われていて、まず単純に金額が高いです。
また、自分と同い年ぐらいの車齢の環境に優しくない、燃費の悪い車に乗りがちな自動車部員にとって、自動車税制のグリーン化特例やガソリン税などは他の人たちに比べて負担がかかりやすいです。
環境に優しい車に乗ることも、よいことだとは思います。
しかし、それが古い車を捨てる理由にはなりません。
車を作るのにも膨大なエネルギーと資源が使われますし、廃棄物が増えれば環境汚染にもつながりかねません。
“使えるものを使い続ける”ことも「エコ」の一つの形だと私は考えます。
まあ、私が古い車に乗っているのは新車を買うお金がないからなのですが(笑)。
(執筆:名古屋大学自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)