こんにちは、静岡大学自動車部です。
最近は部員の納車ラッシュで、部庫前が色々な色の車で賑やかです。
ボディーカラーは、車選びで悩む重要なポイントですね。
そこで今回のテーマは、車のボディーカラー、塗装についてです。
車の塗装のメカニズムや、正しいメンテナンス方法を知れば、色の選び方が変わったり、愛車をよりきれいな状態で、長く維持できます。
ボディーカラーを決めるにあたって、皆さんは何を基準にしますか?
自分の好きな色、目立ちにくい地味な色、一目惚れした色など、様々ですよね。
しかし、それぞれの色の特徴を知れば、色選びの一つの基準にできます。
また、より愛車への愛着が湧くかもしれません。
清潔感があり、人気のある定番カラーです。
特に最近では、メーカーのオプションカラーで、有料の車種も多いものの、光沢感があり、きれいなパールホワイトが人気です。
光を集めにくいので、塗装の大敵である「紫外線」や「赤外線」の影響を受けにくく、長持ちしやすいという、メリットがあります。
しかし白系の色は、泥や汚れが目立ちやすく、手入れを怠ってしまうと、黄ばんで見えることもあるのが、デメリットです。
有料カラー(ピュアホワイトパール)のスイフトスポーツ
落ち着いた、大人の雰囲気がある黒も、定番カラーです。
黒系の色は、光を吸収しやすいため、白系と比べて車内の温度が、夏場は4℃ほど高くなります。
光を吸収しやすいので、塗装の劣化が早いのも一つの特徴です。
白系と同様に、こまめに洗車や手入れをしないと、傷や汚れが目立ってしまいます。
あなたのクルマへの愛次第で、愛車の輝きが増すかもしれないですね。
白、黒に次ぐ人気色です。
中間色であるため、傷や汚れが目立ちにくく、お手入れが楽です。
飽きのこない色は、年配の方にも人気のようです。
最近はグレーが、スポーツカーやSUVに使われることも多く、クルマのボディーラインを、より立体的に見せてくれます。
クルマをさわやかで、スポーティーに見せてくれる色です。
濃い青色など、はっきりした色合いだと、傷や汚れが目立ちやすいので、こまめな手入れは欠かせません。
また、遠くにあるように見える色(収縮色)のため、事故に遭いやすい色、ともいわれることもあります。
近年人気が高まっている色が赤系です。
マツダのソウルレッドなど、カッコよく、おしゃれに見せてくれる深い色合いは、存在感抜群ですね。
一昔前より塗装技術が上がっていますが、一番色褪せやすい色であるのは、昔と変わりません。
この色もまた、傷や汚れが目立ちやすいため、お手入れは欠かせません。
珍しい色で、人と重なることが少ないですが、比較的軽自動車に多く見られる、女性に人気の色です。
目立ちやすい色であるため、事故に遭いにくいといわれています。
こちらも珍しい色で、人と重なることは少ないです。
花粉や砂、泥などの保護色でもあるので、汚れが目立ちにくく、手入れが楽です。
続いて塗装の種類を見ていきます。
ボディーカラーが決まっても、塗装の方法によって、車の雰囲気はがらりと変わります。
そこで、初めに自動車メーカーの純正色でよく見る、一般的な3種類の塗装を紹介します。
ソリッドカラーとは、単色のことです。
メタリックやパールなどの粒子が入っていないので、どこから見ても同じ色に見えます。
単色のため、一般的に他のカラーより塗装がしやすいです。
そのため、より安価にしたい商用車など、この塗装が施行されます。
ソリッドカラーは経年劣化に弱く、古い車だと赤、黄、青などの色は、鮮やかさがなくなり、色あせてしまいます。
そのため最近のクルマでは、傷や色の劣化を防ぐために、ソリッドカラーの塗装の上に、透明のクリヤー塗装をしている場合が多いです。
このことで、手入れもしやすくなります。
ソリッドカラー(チャンピオンシップホワイト)のインテグラTYPE R
ソリッドカラーに、アルミ粒子のメタリック原色を入れ、塗装にキラキラした輝きをもたせたものが、メタリックカラーです。
塗装の光沢は、反射するアルミ粒子のサイズや形状、量によって調節でき、見る角度によって、色味を変えることができます。
原色とメタリック原色の組み合わせで、様々な色味を出すことができます。
しかし、アルミ粒子を空気に触れたままにしてしまうと、酸化が進み、錆になってしまうので、必ずメタリックの塗装の上から、透明のクリヤー塗装をして、コーティングしなければなりません。
メタリックカラー(シルバーメタリック)のセリカ
一般的に、「パール」と「マイカ」は、名前の由来が違うものの、どちらも同じ塗装のことを言います。
こちらもメタリックと同様に、ソリッドカラーの原色に、光沢のある微粒子を混ぜ合わせます。
しかし、こちらで使われる微粒子は、鉱石の雲母(マイカ)なのです。
この粒子は半透明で、それがいくつも重なり、複雑な反射をして、独特の光沢感を出します。
その色味が、真珠のように見えるので、パールとも呼ばれています。
この塗装は、メタリックのように、錆びたりはしませんが、微粒子で塗装面が凹凸になるため、光沢感を引き出すために、クリヤー塗装が欠かせません。
色味は、原色と雲母の粒子のサイズ、形状や量によって、さまざまに作ることができます。
パールカラー(WRブルー・パール)のWRX STI
続いて、あまり見ることのないレアな塗装です。
いわゆる「艶消しカラー」のことです。
塗装が分厚く、表面がざらざらして、艶が全くないので、重厚感があります。
ランボルギーニやベンツなど、高級外車で多く見られる色でもあります。
塗装は、艶消し剤をいれた、ソリッドカラーの単色のみを使うので、シンプルですが、表面にクリヤー塗装などのコーティングを、一切しないので、きれいに維持するのが大変です。
修理代も高価になります。
キャンディーカラーとは、半透明の色のついた塗料を、主にシルバー系のメタリックカラーの上に吹く塗装のことです。
なぜ色の上に色を塗るの?と思うかもしれません。
これはメタリックカラーの上に、半透明のキャンディーカラーを塗ることで、メタリックを透けて見せて、色味に独特の深みを出すためです。
こちらも表面にはクリヤー塗装が必要となります。
光の当たり具合によって、メタリックにもパールにもない色の変化を、表現できます。
それがまさに飴(キャンディー)のように仕上がるのが特徴です。
マジョーラカラーは、見る角度によって‘‘色が変わる‘‘不思議なカラーです。
初めて見る人にとってその印象は、すさまじいのではないでしょうか。
マジョーラカラーは5層構造となっています。
光の約50%が表面層で、残りの約50%は中間層で反射するようになっています。
光の反射する層が変わることで、見える色を変えています。
この「マジョーラ」は日本ペイント株式会社の登録商標で、日本生まれの色なのです。
カスタムでよく使われるラバーペイントは、その名の通り「ゴム」で出来た塗料です。
この塗料の一番のポイントは、塗った塗料を、塗装後に、簡単にはがせることです。
通常だと、塗装を剥がすのは、労力のいる大変な作業です。
しかしラバーペイントは、下地処理をせずに塗装でき、失敗したらきれいにはがして元に戻せる、新感覚の塗装です。
また塗料がゴムということもあり、元ある色を保護したいというときにも有効です。
仕上がりは、マットカラーから艶ありのものまで、さまざまな種類があります。
ラバーペイントのマットブラックでボンネットが塗ってあるエッセ
クルマを運転するときは、汚れた車よりきれいな車の方が、気持ち良いですよね。
しかし、そこで何年も洗車機に頼っていると、どうしても塗装に細かな傷が多く入ってしまいます。
傷は愛車を売るときの、査定額に影響することもあります。
塗装を長持ちさせるためにも、手間はかかりますが、月2~3回の手洗い洗車がおすすめです。
手洗い洗車初心者は、次のことを意識して洗車を行いましょう。
気温が高い晴れた日の日中は、ボディーに付着した泡や水分がすぐに蒸発し、水の跡ができてしまいます。
そのため、晴れた日の朝、夕方、曇りの日が好ましいです。
カーシャンプーには、ボディーカラー別に、種類が分かれている物があります。
また、単に洗浄を目的としたものや、研磨剤やワックスが入ったものなどもあります。車の色に合わせた、カーシャンプーを選択してください。
下から洗うと、せっかく洗ったところに、汚れが流れ落ちてきてしまうので、ルーフから順に洗いましょう。
水洗い→シャンプー→すすぎの順です。
シャワーで泡を洗い流す時も、上から下へ流します。
また、ホイールの汚れは、主にブレーキパッドや、ブレーキローターから出る鉄粉です。
ホイールを洗ったスポンジで、車体を洗ってしまうと、車体に傷がつく原因になります。
車体とホイールで、異なるスポンジを使用しましょう。
これを忘れては、ボディーに水が蒸発した跡が残り、せっかくの洗車も水の泡になります。
必ずセームタオルで、丁寧に拭き上げを行いましょう。
車を売却することを考えて、それを見越してボディーカラーを選ぶこともあります。
白、黒、シルバーなどは、流行や好き嫌いに左右されず、安定した値段で流通しているので、相場通りで売れることが期待できます。
逆に珍しい色だと、査定額が相場より低くなる傾向があります。
購入したクルマは、これから長い間大切にするものですので、クルマに乗るときに毎回違和感を持っていても、運転は楽しくありませんよね。
そのため、迷ったときには好きな色を選ぶべきです。
このように、単にボディーカラーといっても様々なものがあり、奥が深いのです。
そして、それぞれのメリット、デメリットもあるので、それを知っておくと、クルマの見方も変わります。
クルマ選びの際の、ボディーカラー選びは悩みますが、極論、買ってからでも全塗装やカーラッピング(クルマ全体もしくは一部をカッティングシートで覆うこと)で、ボディーカラーを変えることも可能です。
「愛車が色あせてきた」、「愛車の塗装が痛んで剥がれてきた」、「色に飽きてきたがまだまだ今のクルマに乗りたい」という方は、買い替えの前に、高価ではありますが、全塗装、カーラッピングという選択肢も、検討してみるのも有りです。
愛車の見た目を維持し、長く乗ることは、簡単なことではありませんが、できることから、少しずつ試してみましょう。
執筆:静岡大学自動車部