海外で活躍する中古車たち(2)~中古部品の輸出について~
日本でも大活躍の中古部品。自動車を安く直したい、あるいは部品生産されていないようなレトロ車に乗っている人には定番の修理方法です。日本車がこれだけ海外に輸出されているとなると、その修理のために必要な中古部品の輸出も検討しなければなりません。
日本では、中古部品の輸出について細かなルールがあるのですが、詳しく見ていくことにしましょう。
ハーフカットと呼ばれる、自動車中古部品
中古部品とは、使用済みの自動車から取り外した部品のことを言います。自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)で定められたパーツを中古部品として、日本国内で販売したり、中古部品輸出したりできるのは「自動車リサイクル法における正しい処理をした部品のみ」となります。
つまり、一部の部品を除き、単純に使用済み自動車から部品を取り外して、外国へと輸出しようとすると、その取り外しができるのは解体業として許可を得ている業者のみです。自動車解体業の許可を持たない輸出業者が勝手に作業すると、自動車リサイクル法の未許可での解体作業違反により、法的には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。さらにその者が、廃棄物処理法の業許可を受けていないとなると、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の無許可営業として5年以下の懲役又は1,000万円となり、法人の場合は1億円以下の罰金と、大変厳しくなっています。
自動車リサイクル法は、主に環境への配慮を目的として定められたものです。その中で所有者、関連事業者、自動車メーカーや輸入業者の役割を明確にしています。そのうち、関連事業者においては、フロンガスなどの環境破壊に関わるもの回収・破壊や、処理に専門技術が必要なエアバッグ類の取外し回収に車上作動の実施、解体自動車の破砕くず(シュレッダーダスト)の処分などを定めています。中古部品を取外す為に必要な、自動車解体業の許可を受けるためには、許可基準を守る必要があり、施設基準として、油水分離装置の設置やコンクリート床面等の設置された解体作業場や、囲いがあり範囲が明確な使用済自動車の保管場所を確保しなくてはなりませんし、能力基準としては解体手順等を記した標準作業書を準備し、事業計画書又は収支見積書から判断して、解体業が継続できる等々が求められます。
自動車リサイクル法の成立により、現在では自動車のうち、98パーセントほどがリサイクルされ、何かしらの形で利用されているのです。
中古自動車として輸出された車
中古自動車部品として輸出された部品
では、自動車リサイクル法に基づく処理をした解体自動車を輸出するにはどうしたら良いのでしょうか?これには、自動車リサイクル法のほかに、バーゼル条約と呼ばれる条約が関係しています。
バーゼル条約とは、正式名称を「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」と呼びます。2012年2月の段階で締結している国や地域は173にも及び、日本では、1993年に加盟しました。
簡単に条約の内容をまとめると…
・廃棄物はなるべく出さないようにして、出てしまったものは国内で処分をする
・廃棄物の不法取引は犯罪行為として取り締まる
・条約を締結していない国との廃棄物の取引は原則禁止
・条約を締結していても、取引には定められた書類が必要で、万が一それが不法取引になるような場合、輸出国が責任をもって回収、処分する
…つまり、「基本的に廃棄物は輸出ができません」という条約です。さらに、日本では自動車リサイクル法に則って処理した場合でも、使用済み自動車・解体自動車・特定再資源化物品(破砕くず)は、「廃棄物」の扱いになります。したがって、正しく処理していても輸出する際には環境大臣確認がなければ「輸出できない」ということになるのです。
廃棄物というと、ぐちゃぐちゃになってしまったものを想像するかもしれません。しかし、基本的な条件は「フロン類、エアバッグなどの処理が実施されていない部品、または自動車の一部や全部、それらをプレス圧縮した母材」となります。
適正に自動車解体を実施して、その全部を利用する場合のみ廃棄物とならずに済みますが、輸出業者に引き渡す前に、バーゼル条約に抵触しない事の自認等への事前相談が必要となります。
廃車をする車両は永久抹消登録(15条抹消登録)をしなければならず、さらに自動車リサイクル法で取り決められた流れに従い、リサイクルの処理がされることになっています。
また、中古車として輸出する場合、輸出抹消登録(15条の2抹消登録)が必須です。そして、ミラーやタイヤ、バンパー、ボンネット、ランプ類に加え内装品のカーナビ、カーステなど、一部の部品を除いて取り外しや分解が認められていません。万が一、それに違反すると自動車解体行為を為したとして前述の通り罰せられます。仮に自動車のボディのみを輸出しようとしても、廃棄物扱いとなってしまうために輸出をすることができないのです。また中古車として輸出しようとしても、ハーフカット・ノーズカット・ルーフカット・テールカット・エンジンや車軸やサスペンションの取外した場合は中古車としては認められず、自動車リサイクル法での解体業許可無しでは出来ないのです。
このようなことを取り決めているのは、一言でいうとお互いの利益や環境を守るためです。たとえば、本来ならば廃車の処理を担当している業者が、使用済み自動車(廃車)にした車だと分からないように分解して、未処理の部品を中古部品として輸出したとしたらどうなるでしょうか?
そんなことをしたら、外国で現地組み立てノックダウン方式として組み立てられて、中古車として稼働してしまうかもしれません。これは、フロン漏れなどによる環境破壊の問題点があるほか、解体業者が不当な利益を得る恐れなどもあるのです。
輸出された自動車中古エンジンの山々
事故車でも、再生可能な自動車中古部品
許可解体業者によって適正に解体され、その後に輸出される解体部品はもちろんあります。たとえば、ドアにボンネット、ランプ類からエンジン、ミッション、足回りの部品、車内の小物パーツから、大きな物ではトラックのキャビン(運転席部分)のボディなどは再利用のため、フロンやエアバッグなどの処理がされた後であれば輸出が可能です。この他、処理済みのノーズカットやハーフカットといった、自動車を半分、あるいは一部の形を残した状態での輸出もできます。
それ以外の部品においても、各種処理をされた部品や処理の必要がない再利用目的のパーツは、輸入先で適切な処理がされて、部品として活躍することになるでしょう。決して中古部品がいけないというわけではなく、正式な処置を自動車解体の許可業者が施すことで初めて輸出が可能になるのです。
輸出された自動車中古の荷卸し風景
これから輸出さるトラックのキャビン
中古部品の輸出に関しては、中古車としての輸出以上に細かい決まりごとがあります。これは、環境保護や不正から守るために必要なものなのです。
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)