最高のオーディオ環境を手に入れよう!~デッドニングについて~
こんにちは。名古屋大学自動車部です。
先月に引き続き2回目のコラム執筆になりますが、今回は車のデッドニングについてお話します。
そもそもデッドニングとはどういうものなのでしょうか。
簡潔に申しますと、より「いい音」を出すためのチューニング、といったところでしょう。と言っても、排気音のことではありません。車内の音楽のお話です。
ドライブのお供には、良い音楽が欲しい
皆さまのお車には、「カーオーディオ(カーステレオ)」が装着されているかと思います。オーディオ単体のものや、カーナビと一体型になっているものなど種類は様々ですが、CDやSDカード等の記憶媒体、USB端子からの入力を受けて音楽を再生するための装置です。
しかし、カーオーディオだけでは音楽を再生することはできません。
オーディオ装着車には必ずスピーカーも取り付けられています。
「デッドニング」は主にこのスピーカーに関するチューニングなのです。
それでは、具体的にデッドニングについて触れていきましょう。
デッドニングの役割の一つに、「防振」があります。
通常、スピーカーはドアの鉄板部分に直接ネジ止めしてあります。
音が出るスピーカーは当然「振動」しているのですが、スピーカーの振動とドアの鉄板の振動が共鳴することで、不快なビビリ音やノイズが生じる原因となります。
スピーカーの振動はどうすることもできませんが、ドアの振動はデッドニングによりある程度抑えることができます。
そして、もう一つの役割が「気密性の向上」です。
車の内装をはがしたことのある方ならご存知かと思いますが、実は車体のボディ内部や、ドア等のパーツ類のいたるところに組み立てや整備の利便性を確保するための「サービスホール」と呼ばれる大小さまざまな穴が開いています。
せっかく良い音をスピーカーから出しても、その音が、サービスホール(穴)から抜けてしまうと、十分な音響効果が得られません。
しかしデッドニングによりこの穴を塞ぎ気密性を確保することで、臨場感あふれる車内音楽を楽しむことができるようになります。
そして、気密性が向上するということは、車「外」の音、つまりロードノイズなどの騒音も低減してくれるので、まさに一石二鳥ですね。
それでは作業に入ってきましょう。
完璧を求めるなら専門業者に依頼するのがベターですが、今回はDIYということで、カー用品店に売っている市販のデッドニングキットを使用していきます。
他にはドア内張取り外しのための内装はがし、脱脂用のパーツクリーナー(付属しているキットもあります)、スピーカー取り外しのためのプラスドライバーとマイナスドライバーを用意します。
ドア内貼りを外すのに必要な工具
車種は家車のスイフトスポーツです。
まずは、ドアの内張をはがしていきます。
むき出しになったドアパネルにはこのような薄っぺらなシートが貼ってあると思います。
これでは気密性も防振も不十分なので、後に専用の防振シートにおきかえていきます。
内貼り内部の穴を塞ぐ薄いビニールシート
次にスピーカーとその周りの配線を取り外していきます。
車種によっては、ドア周りの配線やカプラーがドアのアウターパネルに当たっているのが、スピーカーを取り外した穴から見えると思います。
これも不快な音の原因となるので、キットに付属しているスポンジシートを巻き付けていきます。
取り外しが終わったら、パーツクリーナーを使ってドアパネル全体の脱脂を行います。
ここをサボるとせっかくのデッドニング材が数日ではがれてしまうので注意です。
デッドニング作業に入っていきます。まずはアウターパネルです。
キットに入っているアウターパネル用の制振シートを取り出します。
いろいろなタイプがあるようですが今回使用したキットには帯状のものが入っていました。
これを、車体外側のドアパネルに等間隔に貼り付けていきます。
キットに付属しているヘラを使ってしっかりと圧着していきます。
このシートがドア板の振動を抑え、共鳴を防止してくれるのです。
次に、スポンジシートをスピーカー取り付け部周辺、およびスピーカーの外周に貼り付けていきます。
こうすることで、スピーカーの防振と、不要なノイズの吸音が同時に行えるわけです。
後はスピーカーを元通り取り付けて外側は完了です。
スピーカー周りに施行した共鳴防止のスポンジ
次にインナーパネルです。
サービスホールより少し大きめに付属のインナーパネル用シートを切り出します。
これをインナーパネルに張り込んでいくのですが、この時に、サービスホールからのびるワイヤー等を通すための切り込みを適宜入れておきましょう。
こちらもヘラを使ってしっかりと圧着させていきます。全てのサービスホールをシートで埋めたら内側も完了です。ドア内張を元に戻して、完成!お疲れさまでした。
効果の程は、と言いますと、拙い擬音で申し訳ないのですが、シャリシャリ音が抑えられて心地良いです。
高音部がかなりマイルドになりました。
曇っていた低音も少しクリアになり、迫力が増しました。
ちょうど、「イヤホンからヘッドホンに変えた時」の感覚に近いのですね。
しかし一方で、ロードノイズの低減については、もともと静音性が高いこともあり効果を実感することはできませんでした。
と、ここまでデッドニングについて書いてきましたが、ここまでについては他の方々にも多く書かれており、面白みに欠けてしまうので、今回の施工で余った制振材を使って…
オーディオ“非装着”の我が愛車、シビック(EG6)にデッドニングを施してみました(笑)。
狙いは、アウターパネル用制振シートによる剛性アップです。
軽量化の犠牲となった、もとがヤワなこの車なら、多少の効果は期待できそうです。
シート自体軽量なので、重量増も気になりません。
気密性も上げたかったのですが、こちらのシートは余りがほとんどなかったので断念しました。
運転席内貼りを剥がした様子
こうしてみると、リアスピーカー周辺にかなり大きな穴が開いているのがわかります。
EG6でのオーディオチューンをお考えの方は、こちらをしっかり埋めていただけば大きな効果を得られる事でしょう。
作業時間は、車種によってバラバラになるのは当然ですが、シビックの場合ではドア内貼り1枚で40分程度でした。
作業になれた方なら、もっと早いのでしょうが、不慣れな方でも意外と出来ていまいますよ。
リアスピーカー装着付近には大きな穴が!?
側面衝突時の剛性を保つドアビーム
張り込みを終えて、いざテスト走行です。
ドアのたわみを防止することで、コーナリング性能に影響するねじれ剛性のアップを図ったわけですが、残念ながら効果は実感できませんでした。
しかし、全く効果がなかったわけではなかったようです。
がっかりして車から降り、ドアを閉めた時にある変化に気が付きました。
今までは安っぽいドアの開閉音「バタン」に、少し重厚感が増して「バタンっ」になりました。
レクサスの様な高級車にはかないませんが、デットニングして、ドアの気密性が増した事により、空気の抜けがなくなり、元々計量だったシビックのドアでも、室内へ流入する空気の抜けが減少したのですね!
思わぬ効果を得られたところで、まとめに入ります。
今回は自動車部員らしからぬ(?)テーマで執筆させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
「音質なんて、結局はスピーカーの性能でしょ」
と思われてしまうかもしれません。が、デッドニングを施すことで、純正スピーカーでもより良い音で音楽を楽しむことができます。
また、大音量で音楽を聴かれる方の場合は、スピーカーの振動も大きくなり、共振の影響が顕著になり、一層効果を体感できると考えられるので、是非お勧めしたいです。
もちろん、オーディオ非装着の車、低年式のボディー剛性が低い車にお乗りの方にもおすすめです。
今回はアウターパネルだけでしたが、インナーパネルにも施工することでより大きな効果を得られることでしょう。
後日、、EG6には後にスピーカーを取り付けました。
「オーディオなんかいらねぇ」などとぬかしていましたが、やはりロングドライブにはBGMが不可欠ですね。
競技性と快適性を兼ね備えた車にすべく努力してまいります。
ガチンコEG6にも、スピーカーがっ!
皆様も、デッドニングに挑戦して、より良い車内環境を作り上げていきましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
(執筆:名古屋大学体育会自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)