イギリス訪問記(その2)
イギリス訪問記・続編(その2)です。イギリスらしい?曇天の空模様の朝ですが、バーミンガムからノッティンガムまで2時間弱の移動をチャーターしたミニバンで移動しなければなりません。
英国らしい、曇天な朝
リサイクル機器製作中
なめらかなカム
ホテルの窓から見えたのは、曇天の曇り空。長時間の乗車するミニバンは、高速をひた走ります。時折小雨も混じる中でしたが、訪問したリサイクル機器製造メーカーは、1872年創業の歴史古い名門メーカーです。142年前と言えば、日本なら明治5年。文明開化の華開くと言って、現在の東海道本線の一部である区間の新橋駅と横浜駅を結んだ日本初の鉄道が開業した年であります。日本が産業革命を始めようとした時代に、産業革命発祥のイギリスでは、そのリサイクルをする事を事業する企業を輩出していたのです。
その歴史ある、金属切削鋏(カッティングマシーン)と金属ベーラー(圧縮機)の最古参のメーカーの工場は、思っていたよりも、規模は小さいものでした。しかし27000アイテムを開発した実力と歴史に基づく顧客からの信頼はとても厚いようで、製造スタッフもイキイキと仕事をしていました。
工場内を案内してくれた、マイク(Mike)さん
社長のフリップ(Phillip)さん
割合と難しい顔をして、我々が持参したiPadの動画を見てリクエスト通りの製品が可能か否かを真剣に考えている社長や、営業のマイクさん。ビジネスの話をしている時には二人とも険しい顔で対応するのですが、意外にチャーミングな所もあり好感が持てます。工場内を案内してくれたのはセールスマンのマイクさん。
加工待ちのシームレス管
謎の開発中マシン
今回の商談でなんとか成約に持ち込みたい、社長を横目にマイクさんに工場近くにある金属商と自動車リサイクル工場を見学につれて行ってもらいました。環境展でも展示してあった自動荷台カバー装着のボックス搭載車や、発売されたばかりの金属クラッシャー等を見学させて頂きました。訪問した自動車リサイクル工場は、小規模の事業者でしたが、ELV許可業者である事が入口に掲げてありました。EU各国では2000年10月に、「廃自動車に関するEU指令(2000/53/EC)」が公布されたのを受け、イギリスでも国内法で、2003年にELVのための制度法を施行した。当時の日本でも1990年代後半には“逆有償”と言われる仕組みで、廃車を処理するのにエンドユーザーに負担を求めて処理する方法が、自動車リサイクル法施行の2005年少し前まで残りました。EU指令でも基本的にはメーカーが自動車に係る環境負担を補い、その費用を車両代に上乗せする等の方法で、車の所有者に負担を求めるもので、日本の自動車リサイクル法でも同様な考えで、“自動車リサイクル券”により、ユーザー負担による環境整備費が求められています。しかし、鉄くず価格下落の影響で環境整備費用の捻出が困難になったのが2001年夏頃で、世界規模でも戦後の鉄くず価格の底値を示しており自動車リサイクル法等の環境法整備が急がれましたが、2008年夏頃には戦後の鉄くず価格最高値をマークした事により、法整備内容が矛盾化するなど、近年の鉄くず業者は嵐の中の小舟の様です。
こんな感じで回収BOXを置きます
回収BOXを積込こんだトラック
整理されていない場内
クラッカーマシンを説明してくれたスタッフ
荒く破砕されたエンジン部品
フィッシュ&チップス
ランチはフィリップ社長にご馳走になりました。イギリスの名物料理であろう、フィッシュ&チップス(fish-and-chips)を、ペプシコーラと共に頂きました。カラッとフライされた白身魚のタラにたっぷりのタルタルソースをつけて食べるとお腹もいっぱいになります。
商談も無事に終え、ノッティンガムから首都ロンドンに移動です。移動手段をミニバスにするか電車にするかを話会っていると、マイクさんが電車を強く勧めてくれました。金曜日の夕方はロンドン向けの高速道路は混みあうから大変だよとの事。ノッティンガム駅まではマイクさん達が送迎してくれると言うので遠慮無しにご厚意に預かりました。ノッティンガム駅からロンドン駅まで約60ポンド11,000円くらい。全席指定の急行列車らしいのですが、指定席無しでも乗車可との事。指定席を持った人が来たら席を譲れば良いらしいので、遠慮無しに着席しました。ロンドンターミナルまで、2時間弱の列車旅です。
ノッティンガム駅前
列車の切符
乗車した列車
ロンドンターミナル内
ロンドンまでの列車の乗車率90%以上はあるのでは無いかと言う程の混雑ぶりだったのは、この日は金曜日。そう華金が影響しているらしく、ロンドンターミナルも人であふれていました。ロンドン市内中心部に近いハイドパーク(Hyde Park)の側にある、その昔レインスター公爵の別荘だったというThe Duke of Leinster ホテルに宿を予約してあるのですが、大きな荷物もあるので、ロンドンタクシーにて移動する事にします。ロンドンタクシーのドライバーになるには、市内の2万とも3万と言われるストリート名(通り名)や、交差点名に公共の建物や観光スポットを覚える事、ロンドン市内の320通りあると言われる基本ルートを覚える等の厳しい試験を受けて合格したドライバーのみが、通称:「ブラックキャブ(Black Cab)」と呼ばれるロンドンタクシーの乗務員になれるのです。だから、ロンドンターミナルのタクシー乗り場でホテル名を告げるだけでOKなハズだったのですが、「ジ・デュークオブレインスターホテル、プリーズ」と言っても何度も聞き直してきます。そこでホテル名が記載されたバウチャー(Voucher:ホテル予約券)を提示した所、理解したようでOKサイン。どうやら、ボク達の英語の発音が悪かっただけの様です。やれやれ、冷や汗をかきました。
ロンドン市内を走るタクシー
目的地を理解した運転手は、迷う事も無く大通りから狭い路地もスイスイと走ります。ロンドンタクシーは、その大柄なボディに似合わず、小回りが利くようです。最後部に3名、向い合せで2名の合計5名までのお客を乗せる事が可能で、スーツケースも楽々乗っていまいます。
ロンドンタクシーと二階建てバス
ホテルに到着したのは既に夕方でしたので、ホテル近くのパブで食事をして夜のロンドン街を観光しました。
タワー・ブリッジ (Tower Bridge)
テムズ川にかかる、ロンドン橋(右中央のオレンジ照明)
子供の頃に唄ったことのある人も多い民謡の「ロンドン橋落ちた」の橋に間違われる事が多い、跳開橋であるタワー・ブリッジ (Tower Bridge)は、ちょうど橋が開橋するタイミングで訪れる事が出来ました。また、すぐテムズ川の上流にかかる、ロンドン橋も閉橋したタワー・ブリッジから確認できます。金曜日の晩と言う事もあり大勢の観光客や地元の若者が歩いていました。軽い酔い覚ましになったので、ホテルの近くのパブで少しだけビールを飲み直しまして金曜の夜が終わってゆきました。
今回のイギリス訪問は、2014年9月17日(水)から9月22日(月)に帰国するスケジュールで、日曜の晩には、帰国便の飛行機に搭乗しなければならいので、本来の予定では土曜日にはロンドン近郊の自動車リサイクル業者を視察に行く予定をしていたのですが、土曜日が定休日なので見学は不可だと断れてしまいました。そこで喜んでスケジュールの変更を「ロンドン近郊の自動車リサイクル業者の視察」から「ロンドン市内及び近郊の歴史的建造物等の視察」に切り替えて実施しました。今回も研修としてイギリスに訪問していますので“観光”ではなくて“視察”と言う点は譲れません(笑)
土曜を終日と日曜の午前中にかけて訪問した主な視察先は、タワー・ブリッジ、ロンドン塔、ウェストミンスター宮殿、ビッグ・ベン、ウェストミンスター寺院、トラファルガー広場、バッキンガム宮殿、ハロッズ、ワーナーブラザース・スタジオツアー・ロンドンのメイキング・オブ・ハリーポッター等々でした。ここでは画像だけを並べてゆきますので、建造物等の詳しい解説は情報の多い旅行者向けサイトが多数あるのでそちらを参考にして下さいませ。(筆者も勉強不足なので知らない事の方が多いので!?)
路上駐車が多い街でした
ハイドパーク内の散策道
ハイドパーク横のモニュメント
大型のレッキング車を発見!
観光地らしく、レンタル自転車
タワー・ブリッジ
トラファルガー広場から出発する騎兵隊
イギリス女王がお住まいの、バッキンガム宮殿
ウェストミンスター宮殿と時計台(ビックベン)
テムズ川とロンドンアイ(観覧車)
青空とビックベン
ウェストミンスター寺院
細い路地でも、路上駐車が多い
見学ツアー専用のハリーポッターバス
ワーナーブラザース・スタジオ、ロンドン
実際の映画に使用された食堂
蛇の扉(ハリーポッター)
ホグワーツ魔法学校の1/24模型
実際の映画に使用された謎の通路
掲示してある英語が読めなくても・・・
日本語でのデジタルガイドがあるから大丈夫
古い欧州車(車名が分からない…)
トヨタのRAV4ですが、フェイスが日本と少し違う?!
ハロッズ、エスカレーターホール上のスフィンクス
ハロッズ(Harrods)の魚食品売り場
ハロッズ(Harrods)の果物食品売り場
裏路地
滞在最終日の午後、ロンドンを離れる時にホテルのフロントにお願いして呼んだミニバスタクシーを待ちながら改めて今回のイギリス訪問について考えました。イギリスを含む欧州はその歴史が古くて長い事もありますが、同様に歴史の古い中国とは考え方が違うのでしょう。決して器用では無いのか環境機器は大型で取り回しが大げさな装置ですが、安全性に関しては二重三重の装置がついていました。ロンドン市内の路地を歩いても古い建物は多くても汚くは無いのです。最後の画像“裏路地”を見ても、その道路に空き缶やゴミなどは落ちていません。環境機器にしても、市街の環境整備にしても、誇り高き人種なのでしょうか義務と権利をわきまえていると感じました。
私が自動車リサイクルをする。環境には負担をかけない。その費用は負担して欲しい。
私が街を清掃する。もちろん市民の方々も街を大切にして欲しい。
私が国を守る。あなたは家族を守って欲しい。
近代産業の発祥地だからこそ、近代に起こり得る環境破壊に敏感な感覚を持ち合わせているのでしょうね。とても勉強になりました。今の日本はどうでしょうか?渋滞する幹線道路沿いにはコンビニの空き弁当や空き缶にタバコの吸い殻が投げ捨ててありませんか?
義務と権利。筆者の勤務先が実施している、「自動車解体業」は行政からの事業許可が必要な業種です。元々は欧州の自動車リサイクル指令を参考にして作られた法律なので実際に欧州に来て、その環境への配慮を感じると、大いにその理念を感じます。だからこそ、古い町並みを保存して不便でも愛して利用する事が出来るのでしょう。自分たちの民族意識が高いからこそ、自分たちが住み子供を育てるその地を大切にするのでしょう。大切にするからこそ、環境に配慮した自動車リサイクルが必要になったのでしょうね。
こう問われた気がしていました。
『私は自国を誇りに思う。あなたは自国を誇りに思うのか。』
これからも、誇りと愛を持って廃車を買取りして行きますよ。
以上
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)