新ニュージランド訪問記(その2)
前回の(その1)に続きまして、その2でございます。
さて、今回の目的であるNZへ中古車を輸出した際の、輸入WOF検査についての調査です。
元々、NZには日本の車検制度のようなW.O.F(The warrant of fitness process)制度があります。
少し前までは、新車以外は6ヶ月に一度の“WOF”が義務づけられていましたが、
私たちが訪問した、2014年1月からは下記のように変更されたそうです。
◇ 2009年以降の製造車は、1年/1回のWOF検査。
◇ 2004年から2008年の製造車は、これまで6ヶ月/1回だったWOF検査が、1年/1回のWOF検査。
◇ 2004年より前の製造車は、今まで通り6ヶ月/1回のWOF検査が必要。
に、WOF制度が変更になったそうです。
さらに規制緩和なのか、2014年7月から、
◇ 新車購入時の初回WOF検査。
◇ 初回検査後は、3年後にWOF検査。
◇ 新車購入時から2回目以後は、1年/1回のWOF検査。
◇ 2000年1月以降の製造車は、1年/1回のWOF検査
◇ 2000年1月1日より前の製造車は、6ヶ月/1回のWOF検査
(※2014年時点。おそらく製造年より14年未満以降での判断だと思われる)
ここで言う、WOF検査と言うのは、日本の車検制度に近いものですが、ブレーキの効き具合や、タイヤーのひび割れや溝残量、シートベルトの劣化やハイマウントストップランプ等の不具合と言った安全基準に対しては厳しいですが、車両経過による劣化に関しては緩いイメージだそうです。
検査を受けるTesting Station によっては、タイヤーのひび割れ程度は見逃しスルーして検査を通してくれるらしいです。WOFの検査を受ける整備工場は街角のアチラコチラにありまして、30NZ$~50NZ$位で検査が受けられるようです。ただ、輸入WOF検査に関しては、新車では無い中古車を取扱うと言う観点からか、かなり厳密に検査が実施されます。特に安全面に関して、自動車の骨格フレームに関してのダメージには厳しい基準が設けられています。
検査員による検査風景
検査の為にバンパーとテールランプを取り外す
走行に関連する、パワートレインのチェックも厳しいのですが、NZに入ってくる粗悪な車両を排除するためなのか、自動車のフェンダーライナーと呼ばれる、タイヤハウス内のプラスティク製の車台カバーを取り外したり、エンジンルームの下部にあるカバーを取り外したり、テールランプにバンパー、座席シート、トランク内の内張りに至るまで、車台骨格が目視できる状態まで取り外します。その状態でようやく検査員によるWOF検査の開始です。
車台の基礎となる、プラットフォームへのダメージ有無に加えて、ロッカーアームへの損傷の有無、ピラーと呼ばれるルーフを支える部分、俗に言う“Aピラー・Bピラー・Cピラー“と呼ばれる部分への損傷の有無を確認して行きます。具体的にピラーやシートベルトの取り付け位置まで何センチ以内のダメージが残っている場合は不合格にするという基準があるようでして、検査員による合格を証すために、検査後には検査員のサインを致します。ここで言うダメージが残っていると言う定義は、事故歴や修復歴がある車輌はダメだと定義してある訳ではなく、WOFによる規定のダメージの有無をさします。従いまして、日本で事故してしまった車両を、WOF基準で鈑金塗装すれば問題なく検査には合格しますが、規定にとおりではなく歪みやゆがみに厳しく、俗に言う“事故車”だとダメで“修復歴あり”だと問題ないという感じです。日本だと怪しい安い店頭価格をして販売している中古車販売店さんの、事故車を見た目だけ修理したのはダメだと言う感じです。従いまして、WOF検査で不合格になった後でも、NZでしっかり鈑金すれば、再検査で合格になります。問題は経費がかさむと赤字になるという事ですよね。どうやら輸出対象車両は最初から修復歴有りの車台は避けた方が無難なようです。
輸入WOF検査が無事に完了致しますと、VIN ナンバーを取得します。VIN-No.とは、“Vehicle Identification Number”の事で、日本の車台番号とは別に17桁の国際車台番号が割振りされます。これをエンジンルーム等の場所にリベット打ちします。これでNZ国内で輸入中古車を走らせる前準備が整った事になります。WOF → VIN-No. → REG(Registration)です。REGはナンバープレートの更新料でつまり税金の事です。ナンバー発行機関であるAA(Automobile Associaation)でREGを支払いナンバーをもらえば、晴れて登録車両となるのです。
登録車になった後も、WOFとREGは一定の期間で更新しなければなりません。WOFは上記で述べた期間で受けなければなりませんし、REG(レジストレーション)は、NZ Transport Agencyと呼ばれる日本の陸運局に相当する機関から送付される書類を郵便局等で支払います。面白い事に、REG更新の期間をユーザー自身で3ヶ月以上1年未満の間から選んで支払い出来る事です。
2013年度に日本から輸出抹消された1,163109台の内、ニュージランドは4位で9万台の実績を誇ります。
1:ロシア(RUSSIA)167,822台
2:ミャンマー( MYANMAR)134,822台
3:アラブ首長国連邦( U.A.E.)98,831台
4:ニュージランド( NEW ZEALAND)91,322台
5:チリ(CHILE)78,000台
6:南アフリカ( SOUTH AFRICA)62,275台
7:ケニア( KENYA)61,396台
8:キルギス( KYRGYZ)36,026台
9:モンゴル( MONGOLIA)34,919台
10:タンザニア( TANZANIA)30,912台
(財務省の輸出統計による)
おおよそ、7.9%の輸出車両のシェアをしめています。やはり、トヨタ車は人気が高く、ミニバンタイプに加えて、最近はコンパクトカーも人気です。これはオセアニアの方々特にサモア諸島の方々は大家族なのでミニバンタイプを好み、サモアン系のセカンドカーや中華系移民や韓国系移民の方々は燃費の良いコンパクトカーに人気が集まるようです。色もカラフルなものに人気が高いようで、NZ国内で圧当的なシェアを握る流通系の競り市でも、同様の車両が人気を集めているようです。日本の流通と同じく、店頭に並べた車両の回転と現金化を促進されるような感じで、オートオークションが利用されているようです。
ターナーズオークション外観(TURNERS A.A)
セリブース(競り前)、手競りが実施される
日本で2005年前には、自動車輸出台数の正確な統計は存在せず、自動車リサイクル法の施行に合わせる格好で中古車輸出の際には、“輸出抹消登録”の実施が制度化されました。その以前、1990年代にもかなりの台数がNZに輸出されていましたが、近年ではインターネットの普及により日本の流通価格がNZの事業者にも容易に確認が出来るようになったようです。つまり、日本の中古自動車は国際商品と成り得たと考えます。価値のあるものは価値を見出して使用する、そんな事が可能になったのは素晴らしい事だと思います。
それに伴い、自動車の中古部品も国際商品に発展してきていますので、私たち廃車ドットコムでは“まだ使える自動車中古部品”を少しでも生産をして、リサイクル促進につなげたいと感じました。
まあ視察の後で、地ビールの試飲をしたり、地元で有名な“Angus Steak”で、大きなステーキを食べたり、オークランド港のキレイな夕日を眺めながら散歩したりしたのは良い思い出になりました。
ニュージーランドは、治安が良くて気候も良くて自然もたくさんあります。上手にビジネス展開をしてまた訪問したいですね。
次回も訪問したら、訪問記が書けるようにがんばりますので、引続き廃車ドットコムを応援して下さい。
ありがとうございました。
おわり
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)