タイ王国訪問記(番外編:その1)
今回の海外訪問レポートは、タイ王国です。セントレア中部国際空港からおおよそ4400kmを6時間程のフライトタイムで、タイの首都バンコク郊外にあるスワンナプーム国際空港到着致します。
筆者は、廃車ドットコムの公式FBページにも投稿してあるとおりに数回のBKK渡航歴がございます。
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雨のセントレアから、TGに搭乗
スワンナプーム国際空港に到着
そんな筆者ですが、今回は番外編とさせて頂きました。その訳は、お取引先様社長の奥様が亡くなったとの一報を受けて急遽、訪問する事になったからです。日曜日の夕方にお亡くなりになって、明けて月曜日に連絡を頂き、火曜日にエアチケットを手配して木曜日に出国するというスケジュールで、目まぐるしい週となりました。その奥様には、ボクはタイ語に関しては挨拶程度しか分からないし、奥様は日本語をしゃべれないのに、ニコニコ微笑みながら市内観光や買い物に連れて行ってくれたり、自宅に招いて頂きタイの家庭料理をご馳走してくれたりする、とても優しい奥様でした。
そんな訳で今回の訪問記は、タイのBKK葬祭事情についての訪問記を書きます。文中や画像に、斎場や祭壇、火葬場に花輪等々が出てきますので、気分を害される方はご遠慮下さい。
本来、人がお亡くなりになった事を、こう言ったサイトの訪問記に記載するのはどうなのかな?とも考えましたが、故人の事を知ってもらう事や、この訪問記をお読みのお客様がタイのお通夜やお葬式の事情を知る事で、その国の文化や考え方を理解して互いに良い関係が構築できる事が、長年にわたり日本の廃車スクラップから発生する自動車をリサイクルし、その自動車中古部品の輸出に携わってきた奥様の望みであり、冥福をお祈りする事になると信じて訪問記を書くことにしました。
さすがハブ空港、23列ものターンテーブルが並ぶ
初めて訪タイした時には、タイの首都バンコックのドンムアン空港に降り立ったのですが、2006年9月に開港したスワンナプーム国際空港が現在の国際便の発着空港です。開港当時は機内に預けたスーツケースがターンテーブルに出てくるのに数時間かかった事もありましたが、現在はスムーズに出てきます。
空港内の設備レイアウトも年々改善されて、イミグレーションを通過した頃には預けた荷物もターンテーブルに出てきました。
ちなみに、タイから出国時の手荷物検査等の、レイアウトも数年前から変更されて、一時期の混雑は無く、スムーズに通過できます。
少し早く到着したのですが、お取引き先様のスタッフがお迎えに来てくれていまして、空港からほど近いエリアであるバンナー地区のKingkaeo Road沿いにあるホテルにチェックインしました。ちなみにローカルホテルなので一泊3,000円程度です。日本人は、ほとんど居ません。チェックインする際にチェックアウト時に空港までのバスの予約が必要か否かを問われましたので、主に空港利用者が早朝や深夜のチェックインに利用される場合が多いのでしょう。ホテルに荷物を置いたらすぐに、お通夜会場となっているお寺へと向かいました。
葬祭会場を兼ねるお寺
お悔みに花輪を出しました
タイの首都バンコクでの一般的な、お通夜やお葬式等の葬祭はお寺で執り行われる事が多いようで、現地の人曰く、葬祭を1日、3日、5日、7日、9日間と裕福な家柄ほど長いお通夜を営むようです。今回のお通夜は、月曜日に始まり金曜日までの6日間、お葬式を土曜日に執り行うのとの事ですので割と大きい葬祭と言えるのでしょう。木曜日の夕方に到着した筆者は、木曜日と金曜日の二日間お通夜に参列で土曜日には葬式に参列して、日曜の深夜に帰国予定というスケジュールになります。
筆者はタイで初めての葬祭に参列なので、お葬式のしきたりマナー慣わし風習が分かりません。事前に電話をして確認したのですが、日本から来てくれるだけで嬉しいので何も心配するなとの回答だけ。困ったときには事情通の方に質問するのが良いと思いまして、日本のお取引先さまの所長で、バンコク市内に自己所有のマンションをコンドミディアムとして貸し出しているタイ事情通である、M氏に電話で確認しました。この場をお借りしまして恐縮ですが御礼申し上げます。ありがとうございます。日本でも地域や宗派によって風習が違うように、タイでも地域や宗教によって違いがあるからと前置きをして所長が参列した際のお葬式をまとめると、、、
・お寺で葬祭を執り行う。火葬場もお寺内にある。
・お数珠は不要。誰も持って無い
・服装は黒いシャツ。ズボンは黒っぽいスラックスが良い。ただし、襟付きであれば黒いポロシャツ等で可
・花輪(黒輪)等は、1,000~1,500バーツ
・香典は、飾り無しの白い封筒の裏に記名して、300~1,000バーツでOK
・受付や記帳は無い。白い封筒に1,000バーツ入れ、封筒裏記名して故人に出来るだけ近い親族に渡す
等々の情報を事前に入手していました。ふくよか体型な筆者は、黒いシャツなど持ち合わせが無かったので、訪タイ前日にゴルフショップにて黒いポロシャツを3着購入してきました。
祭壇の様子
花環ならぬ、華扇風機!?華時計!?
お寺に着いたのが17時少し前くらいでしたが、お取引先さまの社長の姿を見つけたので、互いに涙しながらハグをしてお悔みの言葉を伝えました。ご香典を渡して慰霊に参拝をしました。タイの風習なのか祭壇にお参りする際に線香に火をつけるのを親族が行い参列者に手渡しするのが慣わしのようです。社長から中華風な長い線香、まるで花火のような赤い木の枝がついたタイプのヤツを手渡しされましたので、以前、金箔の大寝涅槃仏で有名なワットポー(涅槃寺)に連れて行ってもらった際に教えられたとおりに、線香を両手で挟んで合掌。そして線香を立てて両手を床につけるようにして礼拝を三度。ふつうのタイ人ならそれで参拝は完了なのですが、筆者の父親が亡くなってからは手帳に入れて持ち歩いている、般若波羅蜜多心経(般若心経)を唱えあげました。
本来のタイの仏教からすると般若心経をあげるのは、場違いなのは承知していますが、私にはコレでしか故人の冥福を祈る術を知りません。タイのおおよそ95%は仏教徒なのですが、実はそのほとんどが小乗仏教(上座部仏教)の一派である南伝仏教(南方上座部仏教)なのです。
筆者は、この廃車を買取りしてリサイクルする仕事に携わってから、世界各国の人々と付き合うようになり、文化や風習、人種、宗教で、色んな考え方がある事を学びました。特に宗教観に由来する慣わし等は、仏教に係らず、イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教に精霊信仰まで、その人の行動に係る考え方に関係するのです。私は熱心な宗教者ではありませんが、臨済宗妙心寺派寺院大智寺の檀徒として般若心経を唱える事は、文化が違うタイでも故人への思いと言う考えでは相違は無いと思い、心こめて唱えました。臨済宗と言うのは禅宗であり、大乗仏教の一派です。同じ仏教なのですが、タイの小乗仏教と日本の大乗仏教の大きな考え方の違いは、小乗仏教の場合は文字通り“小さい乗り物“であるのに対して、大乗仏教は“大きい乗り物”なのです。悟りをひらき解脱するに至り輪廻転生の輪から救われ悟りに至るのは、すなわち修行者である出家したお坊さんだけであるという考え方で少ない乗車定員の小乗仏教なのに対して、仏様を信じてお経を唱えれば信徒全てが救われ、悟りの世界である彼岸に至るという考え方が、沢山の乗車定員の大乗仏教という感じです。
では小乗仏教の場合は、お坊さん以外は救われないのかと言うと、一般の人々は修行者である徳の高いお坊さんにお布施や施しをして功徳を積む事で少しでもあやかり、自分が死んだあとに生まれ変わると言う考え方の輪廻転生で、転生(生まれ変わる)で少しでも良い所に転生できるように願うのです。だって生まれ変わったのが牛や豚で食べられてしまったり、ハエや蚊で害虫として駆除されてしまったりしたらイヤですからね。だから徳の高いお坊さんの側にいる事で、少しでも良い生まれ変わりを願うのです。その考えが分かると、葬祭を裕福な家柄ほど一週間以上もかけて執り行う意味も理解出来てくるのではないでしょうか。上記の画像で祭壇の横に、華環ならぬ華扇風機や華時計を掲載しましたが、故人や遺族に贈る意味よりも葬儀後にお寺に寄進するので、故人がより良い輪廻の輪に導いてほしいと言う意味が強いのです。仏教の開祖尊称ブッダさま(ガウタマ=シッダールタ)も、まさか扇風機が寄進されるとは思わなかったでしょうね。その内、廃車・事故車のお葬式でも執り行う日も来るかもですね(笑)
タイのお通夜、開始風景
お通夜が終わりくつろぐ僧侶
そんな感じで、渡航初日の木曜日のお通夜が20時頃から1時間程度執り行われました。流れは下記のとおり。
・お坊さんが入室。
・その日の主催者?にあたる人が、仏前で両膝をつきワイ(お辞儀)を三回してからすべての蝋燭に火を灯す。
・礼拝文を、長の発声に続いて参列者が反復する唱和スタイルで僧侶に唱える。
・僧侶はそれに答え、おそらく三帰依・五戒だと思われるお経を僧侶と遺族で反復唱和が行われる。
・僧侶の一団による読経が開始される。読経の間は、僧侶の顔を隠すように前に団扇を立てるのが慣わしらしい。なんでも顔を隠す事で、僧侶は集中する意味と、参列者には僧侶の声じゃなくてお釈迦様の声を唱えているんだよ… みたいな意味らしい。お経が終わると、座席横の団扇立てに収める。(画像が小さくて判りにくくて、すいません。)
・休憩。 飲み物や軽い食べ物が配られる。
・読経再開。(結構、長い)
・参列者が複数の車座になり、隣あう人と腕を掴むように添えながら、メインになる人が徳利のような水差しからお茶碗のようなお盆に水を移す儀礼を執り行う。(スイマセン、画像が無いと雰囲気が伝わらないですね)
この水差しからお盆に読経と共にゆっくり水を注ぐ儀礼の意味を、何度タイのお取引先様スタッフに聞いても理解しづらかったのですが、故人が生前におこなった善行の功徳を水とみなしてお盆に満たし、故人が来世でも幸福な人生が送れますように… みたいな意味らしい。これも輪廻転生の考えからですね。
・お坊さんにお礼の品物とお布施を渡す。
・それぞれ線香を立てたり、仏前でワイをしたりする等をして、適宜解散する。
タイと日本の時差は、マイナス2時間。つまり21時頃に終わったので日本時間で23時。それから自然解散の流れで30~40分だったので眠くて葬祭場でもあるお寺からホテルに帰りたくても、交通機関が無い。そんな状況でホテルに送ってもらえるのを待っていました。日本だとお通夜の間は故人に付き添い夜通しお線香をあげたりして、故人の側で本来の儀式とおり邪霊の憑依を防ぐのですが、なんと遺族の人達も全員帰り支度をしているではありませんか。そして食事に行こうと言うので、喪主に奥さんの側に居なくても良いのか?と尋ねたら、“怖い”からイヤだと言っています。まあ、夜のお寺は日本でも怖いですからね。。。信心深いタイの人々は、幽霊の存在を信じているらしいので夜のお寺に遺族だけで残るなんてアリエナーイって言うことなのでしょうね。
ようやく、お通夜も終わり、ホテルに帰る途中にあった地元レストランで食事をご馳走になりました。
タイの水辺レストラン
トムヤムガイナームサイ鍋
暑いタイ王国の人々は、何故かオープンエアーな空間が好きらしくて、エアコンの効いた室内よりも画像の如くの水辺レストランが好みのようです。今回も着席したのは水辺のテラス席でした。
そして好む味と言えば、“辛い味”ですよね。大概の料理に唐辛子やパクチー等々の香辛料がたっぷりと使用されていて、とにかく味が濃いんです。筆者が、アノ有名な世界三大スープと言われる「トムヤムクン」は苦手だと知っているので、気をきかせて頼んでくれたのが、「トムヤムガイナームサイ」。どうも、ありがとう。でも酸っぱ辛くて苦手なのです。ご存じの方も多いですが、タイ語で「トム:煮る」「ヤム:混ぜる」「クン:海老」と言う意味で、「ガイ:鶏肉」の事なんです。「トムヤムガイ」で、「鶏肉の酸っぱ混ぜ辛煮」とでも訳すのでしょうか。「ナームサイ」は調理方法と材料の違いで、牛乳・ココナッツ・ナムプリックパオとかが入っていないのです。「ナムプリックパオ」と言うのは、調味料を混ぜたチリペーストでお店の手作りだそうで、ニンニク・エシャロット・炒り玉ねぎ・唐辛子等々が原料です。つまり、辛味の決め手が入っていないから、そんなに辛くないでしょ?海老じゃなくて鶏肉ならどうなの?っと言うオーダーです。でもしっかりと、酸味がある「ライム汁」に「レモングラス」「プリック:唐辛子」「カー:南姜」「ホムデーン」「ナムプラー」そして「パクチー」が入っていて、独特の「ココナッツミルク」等が入っていなくても、十分に風味がキツくて酸っぱ辛いのです。だから少しだけしか食べていません。
他のタイで食べるお料理はとても美味で、少しくらいなら辛いのも食べられます。またタイ米(長米)で炒める炒飯の美味しい事!「カーオパット:炒飯」の意味で、具材に「プー:蟹」「クン:海老」「ガイ:鶏肉」「ムー:豚肉」等をチョイス出来ます。このカーオパットにも、ライムを絞ってかけたり、トムヤムのスープをかけたりして食べるのが一般的なスタイルです。とにかくタイ料理には香辛料が欠かせません。香辛料は殺菌作用もありますし、滋養にも良い。そしてなにより具材を美味しく柔らかくしたり、その臭みを消してくれたりするから、ドロ臭い魚貝類や、固い肉も美味しく食べられるのだと思います。それに発汗作用もあるので新陳代謝にはバツグンに良いようで汗がとめどなく出ます。ビールが美味い~♪
しかし日本との時差が2時間あるので、現地時間の23時は日本の25時になります。急遽の訪タイでしたので筆者も出来る限りお仕事を片付けてきたので連戦の残業。もう眠たくてたまりませんでしたので、早々にホテルに帰還致しました。
今回は「その1:お通夜 編」でした。次回は「その2:お葬式&火葬 編」を報告させて頂きます。乞うご期待!
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)