そうだ! サーキットにいってみよう!
こんにちは。北海道大学自動車部です。
北海道ではようやく春が顔を見せ始めましたが、まだ雪が降るような日もチラホラ混ざっています。
山の上など気温が低いところでは雪が融けきっていないところも少なくありません。
寒い地域にお住まいの方は、スタッドレスから夏タイヤへの交換には十分注意してくださいね。
さて、今回の話題は「サーキット」(Circuit)に関してです。
サーキットと言えば、F1マシンや改造車なんかが“猛スピード”で走るあぶないところ!?
あるいは反対に、キッチリした路面に広いスペースがあって“安心して”スピードを出して走れるところ!
など、人によって思うことはいろいろあるかもしれません。
では実際にはどういったところなのかを見ていきたいと思います。
サーキットを走る、レーシングカー
【1】サーキットの様子
一口にサーキットと言っても、本格的なレースが開催されるような国際サーキットからミニサーキットのような小規模のもの、オフロードのサーキットなどもあり様々です。
FIA( Fédération Internationale de l'Automobile)と呼ばれる、国際自動車連盟がそのサーキットのグレードを取決めています。
・グレード1
F1を含むすべての国際レースが開催可能なサーキット。
・グレード1T
F1のテスト用のサーキット。
・グレード2
F1を除く、排気量2500cc以上のGP2・F3000などのフォーミュラカーレースと、排気量2500cc以上のGT選手権などのスポーツカーレースが開催可能なサーキット。
・グレード3
排気量2500cc以下で、グレード1とグレード2に該当しない、フォーミュラカーレースとスポーツカーレースが開催可能なサーキット。
・グレード4
排気量2000cc以下のF3などのフォーミュラカーやスポーツカーのレースと、グループA及びグループNのレースが開催可能なサーキット。
・グレード5
代替エネルギー自動車用のサーキット。
・グレード6
オフロードレース用のサーキット。
と、全7グレードに分かれています。
日本国内での、国内格式のレースを開催するには、JAFと呼ばる日本自動車連盟の公認を取得すれば良いので、国際規格をFIAグレードと覚えればだいだい問題無いでしょう。
ちなみに、2017年現在でFIAグレードを取得した日本のサーキットは、
・十勝スピードウェイ (グレード2)
・スポーツランドSUGO (グレード2)
・ツインリンクもてぎ (グレード2)
・富士スピードウェイ (グレード1)
・鈴鹿サーキット (グレード1)
・岡山国際サーキット (グレード2)
・オートポリス (グレード2)
と、なっておりF1が開催できるグレード1は、富士と鈴鹿の二ヶ所だけと言うことになります。
また、サーキットコースの設置状況により、
・パーマネントサーキット
・仮設サーキット
・複合型サーキット
の三つにわけることができます。
パーマネントサーキットとは、閉鎖されたコースで常設の競技専用施設になっていて、通常思い浮かべる一般的なサーキットのイメージですね。
仮説サーキットとは、市街地の公道を一般車両が進入しないように閉鎖してコースとする非常設のサーキットです。
複合型サーキットとは、上記の常設コースと非常設コースを合わせてコースとするサーキットです。
ここでは、一般的なパーマネントサーキットについて紹介します。
1) 観客席
大きなサーキットではいくつもの観客席があり、レースのときなどにはたくさんの観戦客で盛り上がります。
2) コース
長いストレートやタイトなヘアピンコーナーなど、それぞれのサーキットに特徴あるコースレイアウトがあります。
3)
コントロールライン
スタートおよびゴールのラインです。
4)
ピット
いくつものガレージが設置されており、ここでタイヤ交換などの整備を行うことができます。
ピットロードは安全のため制限速度が設けられています。
5) パドック
関係者の社交場のようなところです。
一般の人もパスを購入したりすることで中に入ることができます。
6) コントロールタワー
ここからコース全体を見渡すことができます。
7) ランオフエリア
コース外に飛び出してしまっても大丈夫なように用意されたスペースです。
アスファルトで舗装されているものや、芝生・グラベルが敷かれたものがあります。
【2】サーキットで行われる競技
次はサーキットでは、どんなことが行われているのかについて見ていきましょう。
サーキットは公道のように法律に縛られないため、様々なジャンルの車両が走ることができます。
F1に代表される「フォーミュラカー」や、ル・マン耐久レースで見られるような「プロトタイプレーシングカー」、市販車を改造した「ツーリングカー」などが挙げられます。
これらはいずれもレースを行うマシンです。
言うまでもないかもしれませんが、レースとは複数台でスタートして決められた周、あるいは決められた時間を走り切って、最初にチェッカーを受けたものが優勝しるというものです。
レースには24時間走り切るような耐久レースから、申し込みをすれば誰でも参加できる草レースのようなもの、はたまたトラックだけで走ったり、エコカーだけで走ったりするような変わったレースもあります。
サーキットではレース以外にも「ドリフト競技」や「ジムカーナ」なども行われています。
走行会が行われることも多く、これに参加すれば一般の人でも特別な用意なしにサーキットを走ることができます。
面白いところでは、「ママチャリ」や、「三輪車」でのレースイベントがありまね。
富士スピードウェイで行われたフェラーリのワンメイクレース
【3】サーキットの安全性
サーキットは車が高速で走り回るので、一歩間違えれば大事故が起こって危険だというのは、誰もが思うことでしょう。
それではサーキットでは、どのような安全管理がなされているのでしょうか。
まず挙げられるのが、ランオフエリアです。
コーナー手前での減速が、不十分でコース外に飛び出てしまったり、車がスピンしてコースアウトしてしまったりしても“ランオフエリア”があるため、そのまま壁に激突という心配はありません。
またコースの壁は、タイヤやウレタンなどの衝撃吸収材でできています。
もし壁に当たってしまっても、ある程度接触のダメージを少なくしてくれます。
そしてコースの外には、マーシャルが待機しており、クラッシュした際には迅速に対応する準備を整えています。
しかし、いくらサーキット側が安全対策をしても走る側が危険な運転をしたり、マーシャルの指示を無視した運転をしていたりしては、意味がありません。
そこで、コース上でのルールやマナー、マーシャルの振る旗の意味を簡単に紹介していきます。
サーキット走行をする際は、ヘルメット、グローブ、長袖長ズボンを着用するのが基本です。
走行を行う前に説明会が開かれるのでここで詳しい注意点などを確認しておきます。
コース上には、他の車両も走行しているため常にまわりの様子に注意し、後ろから速い車両が迫ってきた場合には道を空けるなどしましょう。
しかし、自分も周りも高速で走行し、状況も刻々と変化するコース上で自分の見える範囲だけで安全を確保しようとするのには限界があります。
そのため、コース脇のマーシャルから旗を使って先の区間の状況が伝えられることがあります。
旗の種類とその意味は以下の通りです。
1) 黄色の旗
コース上に停止した車両がいるなど危険があることを意味します。
この旗が振られている区間では追い越しをしてはいけません。
2) 赤色の旗
激しい事故が起こったり天候が著しく悪化したりした場合に振られ、走行中止を意味します。
この赤色旗が振られると、走行中の車両はすぐに減速しピットに戻るなどの対応をしなければいけません。
3) 緑色の旗
コースクリアの意味です。
黄色旗が解除された後などに振られ、この旗が振られると全開走行を行うことができます。
4) 青色の旗
自分の後ろから速い車が迫っていることを意味します。
レコードラインを譲ってください。
5) 黒色の旗
カーナンバーとともに振られ、そのナンバーの車が危険な状態で走行していることを意味します。
黒旗をふられた車は、走行を中止して一旦ピットに戻らなければいけません。
ここで取り上げた以外にも、いくつかの種類の旗が存在します。
実際にサーキットを走るときには、事前の説明会で旗の意味についてもよく確認するようにしましょう。
次は車両に施される安全対策についてです。
タイヤの空気圧点検や、ホイールナットの増し締めなど基本的なところももちろん大事ですが、ここではクラッシュ時にドライバーを守るアイテムを紹介します。
1) HANS
Head And Neck Supportの略称でドライバーの首を保護する装置です。
ヘルメットとシートベルトとで固定し、クラッシュしたときにムチ打ちになるのを防いでくれます。
HANS付のヘルメット
2) シートベルト
モータースポーツでは、普通の3点シートベルトよりも体を固定できる、4点、5点、6点のフルハーネスシートベルトが用いられます。
Gがかかっても、体がふらつかなくなるため運転に集中できるようになるとともに、万が一のクラッシュ時に、体が投げ出されるのを防いでくれます。
4点式シートベルト
3) ロールバー
車を補強し、搭乗者を守るためのパーツです。
クラッシュしたときや、車が横転して車体がつぶれたときなどでも、乗員のスペースを確保できるような作りになっています。
オープンカーでサーキットを走る場合には、ロールバーの装着が義務付けられることもあります。
このロールバーは、車台の剛性がアップするメリットもあります。
車内のパイプが、ロールバーです
【4】サーキットにおける保険の制度
サーキットでのスポーツ走行でクラッシュし怪我をした場合、通常の社会保険や生命保険は適用されます。
しかし自分や他人の車を壊したりサーキットの施設を破壊したりした場合、自動車保険や損害保険は適用されません。
走行会などでの、サーキット走行時には500円ほどのサーキット傷害保険への加入を求められる場合があります。
これも対物には適用されないことが多いです。
つまりサーキットで施設を壊してしまったり、自分の車を壊してしまったときは、自腹での修復となります。
他の車に巻き込まれて事故を起こしてしまった場合でも、基本的にはそれぞれの車は、それぞれで直すのが一般的です。
【5】国内、国外のサーキット
ここでは国内外の有名なサーキットをいくつか紹介していきます。
1) 鈴鹿サーキット(日本)
日本を代表するサーキットのひとつです。
F1やSUPER GT、8時間耐久レースなど様々なレースが行われています。
テクニカルなサーキットとして有名で、独特な8の字のコースの中に難易度の高いコーナーが配置されています。
FIAの「グレード1」公認コースです。
2) エビスサーキット(日本)
D1グランプリが開催されるサーキットとして有名です。
敷地内には複数のサーキットがあります。
ママチャリ耐久レースなども開催されますが、れっきとしたJAF公認サーキットです。
3) モンテカルロ市街地(モナコ)
F1の開催地として有名な市街地コースです。
普段は街の一部として一般の車が行きかう道が、レースの行われる期間だけ閉鎖されサーキットに変わります。
臨時のストリートサーキットなので、ランオフエリアも狭く、市街地の建物でコース先の見通しが悪いことに加え、路面が滑りやすいのでドライバーの技量が試される難コースです。
4) ニュルブルクリンク北コース(ドイツ)
世界最長のサーキットです。
一般的なサーキットの1周が3~5km程度であるのに対し、このコースは20kmを超える長さがあります。
自動車メーカーが新車のテストとしてここを走ることもあります。
5) サルトサーキット(フランス)
有名なル・マン24時間耐久レースが開催されるサーキットです。
ここも全長が13.629kmと長いコースになっています。
複合型サーキットして、常設コース部分と一般道部分があるコースです。
1)鈴鹿・2)エビス・3)モンテカルロ・4)ニュルブルクリンク・5)サルト、のコースレイアウト
【6】スポーツ走行ができるのはサーキットだけじゃない
ここまでサーキットについていろいろと話をしてきましたが、実はモータースポーツが行えるのはサーキットだけではありません。
駐車場のような、舗装された広い場所ではジムカーナが行われます。
オフロードのコースではダートトライアルといった競技が行われます。
ラリーという公道を貸し切って作られたコースでタイムを争うものもあります。
モータースポーツのありかたは、実に様々でいろいろな場所で行われているのです。
是非!あなたの周りで、身近に行われているモータースポーツを探してください。
一度見れば、きっとモータースポーツの素晴らしさを理解頂けるでしょう。
(執筆:北海道大学自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)