自動速度違反取締装置の測定の仕組みと注意点
今回から執筆の担当をさせていただく名古屋大学自動車部です.
今回は,自動速度違反取締装置について書いていきたいと思います.
当然,制限速度を守って走行していれば問題はないのですが,特にながれのよい一般道であったりすると,まわりの車両のながれに合わせていたらついつい制限速度を超えてしまっていた....
なんて状況もあるのではないでしょうか.流れのよいところに限って設置されていたりするので注意が必要だと思います.
お世話にはなりたくない交通取り締まり
自動速度取締装置ですが,一般的にオービスと呼ばれているのを聞いたことが多いと思います.オービスとはもともとアメリカのボーイング社の商標なのですが,一般名称として自動速度違反取締機といえばオービスといった感じに浸透していますね.警察が移動式として使っているものに関してはネズミ捕りともよばれているでしょうか.
日本だと東京航空計器などが自動速度取締装置を生産していますが,自動速度取締装置にはいくつかの種類があります.
自動速度違反取締機の種類
・レーダー式
レーダーを使用して車両の速度を測定するものです.初期のオービスからこのレーダー式が使用されています.レーダーによる測定する部分と車両を撮影するためのカメラがあります.以前のものは写真フィルムを用いて撮影が行われており,この写真フィルムがなくなると撮影を行ってもデータは残らないといったことになります.電子画像によるものに置き換わってきています.高速道路等を走っていてもあまり数は多くない印象です.取締機が移動可能な移動式オービスとよばれるものもあります.
・ループコイル式
道路の下のところにループコイルが埋め込まれており,ループコイルの上を金属が通過すると,ループコイルのインダクタンスが変化するため,これにより車両が通過したかどうかがわかります.ループコイル式では違反車両はカメラで撮影されるのですが,カメラは道路を上の頭上ではなく,道路脇や中央分離帯に置かれているため意識していないとそこに取締機があるとは気が付きにくいです.
ループコイル式の取締器カメラ部分
・Hシステム
レーダー式と同様に,レーダーを使って車速を測ります.Hシステムでは撮影は写真フィルムではなく電子画像となっていて,フィルム切れで撮影が行えないといったことはありません.見た目としては,頭上にカメラと,レーダーにより車速を測定する白く四角い部分からなります.この四角形の部分特徴的であるので比較的見分けやすいです.
現在ではHシステムは製造されていないようなのですが,高速道路等で多く見かけます.
Hシステムの四角いレーダー部とカメラ
・LHシステム
LHシステムのLはループコイルのことで,車速の測定にループコイルを用いたHシステムです.現在設置されている取締機の中でも主流といえます.
見た目ですがカメラとストロボが見えるだけで,ぱっと見だと後述のNシステムと区別がつかなかったりします.
LHシステムのカメラ
以上の自動速度違反取締装置ですが大きく分けるとレーダーを使用するものと,ループコイルを使用するものに分けられます.
レーダーを使用するものであればレーダー探知機によって探知することができます.ループコイルを使用するものは当然レーダーを出していないのでレーザー探知機ではわからないので注意が必要ですね.
レーダー式,ループコイル式の速度を測る仕組み
レーダー式,ループコイル式の速度を測る仕組みを説明したいと思います.
レーダー式では,レーダーの反射時のドップラー効果を利用したドップラーレーダーで車速を測定しています.
ドップラー効果といえば救急車の音が近づいてくるときと遠ざかっていく時で音の高さが違って聞こえる,といったものがよく知られているかと思います.このときの音の高さは波の波長によって変わってきます.波長とは周期的な波の一つの長さのことを言います.波の発生源や,波の反射する物体が動いているときに,この波の発生源や,波の反射する物体が近づいてくるときには波長は詰まっていき短くなり,遠ざかっていくときには波長が伸ばされることによりが長くなります.だから救急車の場合ではそうなるのですが,この波長の変化の度合いは,波の発生源や波の反射する物体の移動する速度によります.速度が大きくなれば波長の変化も大きくなるわけです.
したがって,レーダーを自動車に向けた時に,そのときの反射波の波長の変化の大きさにより車速を測ることができます.
ループコイル式では,道路に埋め込まれたループコイル上を車が通りすぎた際,ループコイルのインダクタンスが変化するため,これにより車両が通過したかどうかがわかります.ループコイル一つだけでは車両が通過したかどうかしかわからないため,ループコイル式の取締機では,車両の通過する方向に一定間隔でループコイル複数個を設置し,ループコイルの間隔の距離と車両が通過した時間差から車速を出しています.
似たような仕組みでの取り締まりに光電管を用いたものもあります.光電管での取り締まりは自動速度取締機として常に設置されているわけではなく,有人式一般速度取締として警察が取締を行うときに使われています.光電管は光を検出するために使われており,もともと当てられていた光を自動車がそこを通過し光を遮ることにより自動車の通過を検出します.車速の測定としては,ループコイルと同様で,光電管を2点設置しておいて,その2点の距離と通過が検出された時間差から車速を出しています.以上がループコイルの説明でしたが,仕組みからいえば正確に自動車を検出することができるものであれば,ここであげたもの以外でも車速を測ることが出き,取締機になり得るとも考えられます.
自動速度取締機での撮影に関して
警察が特に公表しているわけではありませんが,一般的に,一般道で30km/h超過,高速道路で40km/h超過程度といわれています.一般道で30km/h超過,高速道路で40km/h超過で取り締まりを受けた場合,点数でいうと6点以上となります.6点以上となるとちょうど一発で免許停止になる速度超過となります.この場合,赤切符となり刑事罰となります.取締機での撮影は違反者への了承のない状態で行われるため,肖像権の問題がついて回ります.なので,速度の低い場合の違反では肖像権の方を優先し撮影を行わず,刑事罰となる速度の場合において撮影を行われているのではないかとされています.
取締機での撮影は普通前から撮影を行い,車両のナンバーと運転者を特定しての取締となっています.なので,運転手として特定できない場合や,バイクなどで前のナンバープレートが特定できない場合などは取締を受けない場合もあります.その解決として,前側のナンバープレートが特定できない場合のために,後方からの撮影する取締機も一部あります.数は少ないですが.
次にあげるような自動速度取締機に似ているようで異なるものもよく道路上には設置されています.
・Nシステム
Nシステムというものがあり,見た目としては道路頭上にカメラが設置されており,ぱっと見ではLHシステムと似通っています.しかし,取締機ではなく,自動車ナンバー自動読み取り装置というもので,特に車速を測ったりはしておりません.高速道路などで多く見かけます.
自動車ナンバー自動読み取り装置と称されるとおり,通過した自動車のナンバープレートを読み取っています.読み取られたナンバーは,盗難車や重要犯罪に関する自動車といった警察の手配車両と照合されており,取締機とは設置の目的が異なります.
Nシステム、自動車ナンバー読み取り装置
・Tシステム
Tシステムは旅行時間測定システムのことです.Nシステムと同様に,見た目としては道路頭上にカメラが設置されており,ぱっと見ではLHシステムと似通っています.
交通流速の計測を主に行い,目的地までの所要時間の予測を目的としているものです.
・過積載監視システム
これは大型車の積載量を超過しているものを検出するためのものです.重量だけでなく車両の長さ,高さ等も計測しており,この寸法の計測部分はアーチ状になっています.
この3つはどれも車両を撮影するためのカメラが付いています.特にLHシステムなんかでは見える部分にはカメラとストロボであるため,区別がつきにくいです.この3つのなかだとNシステムがとても多く設置されています.
自動速度取締機の注意するポイント.
まず注意するポイントとしては,自動速度取締機の設置個所の前には警告看板がおかれています.「自動速度取締機 設置区間」などと書かれた青い看板です.取締機の1km前とか2km前に設置されています.道路上や道路わきに設置されています.
警告看板。
あとは,自動車用品店などで売られているレーダー探知機があります.やはり取締機を気にする人が多いのかよく見かけますね.レーダー探知機は,その名のとおりレーダーを探知し取締機を見つけてくれるものです.取締で使われているレーダーには,いくつか周波数があるので,それを検出しレーダーを見つけます.ただレーダー以外でも似たような周波数であれば,間違って反応してしまうといったこともあります.レーダーでも探知機の対策としてステルスと呼ばれているような車が近づいたときのみレーダーをだすようなものもあります.他の車が自分よりも前を走行していれば検出できますが,そうでない場合レーダーを検出できたとしても,そこから対処するのは難しいでしょう.
GPSレーダ探知機が、LHシステムを教えてくれた!
探知器としてはあらかじめ取締機の場所が保存されておりGPSで車が走行している位置から,通過する取締機を通知するものがあります.移動式のものは探知できませんが,前もって取締機の位置がわかるので実用的ですね.最近のレーダー探知機は,レーダーの探知とGPSでの検出とを両方おこなっているものが多いですが,GPSだけであればスマートフォンのアプリとかでもあります.
この探知機の影響もあるようで,取締機での取り締まりの件数は年々減っていっているようです.
カメラの位置を、GPSで認識する
注意するポイントとして書きましたが,冒頭にも書きましたが,当然,最初から制限速度を守っていれば特に問題はないわけです.取締機にも気が回りがちですが,制限速度を守るのを心掛けたいですね.
(執筆:名古屋大学体育会自動車部)
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