こんにちは!北海道大学自動車部です。
今回は「自動車部」についてのコラムです!
ここに掲載されている様々なコラムの中には、執筆が「自動車部」となっているものもあります。僕も大学に入るまで自動車部を知らず、初めて知った時も
「そもそも自動車部って何?」
「何か怪しいことをしている集団なの?」
「学生が車を所有するって無理じゃない?」
と思っていました。
そんな自動車部が普段どのような活動をしているかをご紹介します!
私たちの活動のメインは、モータースポーツ競技に参加することです。
わが北海道大学自動車部の場合は、主に3つのモータースポーツに参加しています。
「なにそれ?聞いたことないな~」
という方が大半かもしれません。
この競技は広い駐車場のような舗装路を使って行う競技です。コース中にパイロン(工事現場などに立っている三角コーン)を置き、その間をするすると抜けていく。そんな車との一体感を味わえるものになっています。
一台一台出走をして時間を競う競技なので、他車とぶつかる心配もありません。速度自体は時速100キロを超える事もあるので、危ないことは危ないです。
しかし、他のモータースポーツと比べると、危険度は低いです。
モータースポーツの中では敷居は高くありません。ほかのダートトライアルやラリーと比べると、車に施す改造個所も少なく済みます。無改造でも走ることもできる、だれにでも始めやすい競技です。
部員の車はこんなものが走っています。
かっこいい車からフツーそうな車まで…
ホンダ フィット
三菱 ミラージュ
こちらは名前で少し想像がつくかもしれません。
砂利が敷かれた競技場の中を、決められたとおりに1台ずつ走り、タイムトライアルを行います。
疾走するトヨタ スターレット
土煙を立て、砂利を飛ばしながらタイヤを滑らせつつ走るその姿は、何とも言えないカッコ良さがありますね。
実際に筆者も走っていますが、普段とは全然違う動きをする車に、興奮が止まりません。
こちらはジムカーナと違い、非舗装路を走ります。だから様々な改造が車に求められてきます。車体そのものがぶつかったり、ひっくり返ったりする可能性があるため、
・ 車体を補強する「ロールバー」
・ 車に体をしっかりと固定して競技走行をしやすくする「フルバケットシート」
・ 「4点シートベルト」
など、後に書きますが自動車部員の中にはこういった改造を、自分たちで行う人もいます。
これも最近映画の題材などにされて有名になっていますね。ここでいうラリーとはSS(スペシャルステージ)ラリーというものです。専有した道路中のある区間を、約1分ごとに1台ずつ車が出走し、いかに速く走るかというのを競う競技です。
路面状態は舗装路や砂利道や雪上など、開催する場所や時期によって、様々なところを走ります。
上記の「ジムカーナ」と「ダートトライアル」は、車にドライバー1名だけが乗って競技を行います。しかしラリーは、ドライバーのほかに「コドライバー」と呼ばれる人が乗車し、一緒に競技を行います。
コドライバーは「ペースノート」と呼ばれる、SSの情報を記載したノートを作ります。
・ 先のカーブは左右どちら向きなのか
・ どのくらいの角度なのか
・ 直線はどのくらい長いのか
などの情報をドライバーに伝え、高速で運転しているドライバーをサポートします。コドライバー専門のセミナーが開かれるくらい、奥が深い役割となっています。
自動車部員の中には自分で車を持たずに、コドライバー専門の人もいます。また「サービス」と呼ばれるメカニックの人たちも待機しています。車にトラブルがあった場合には修理にあたり、サポートする役です。
このようにラリーは「ドライバー」と「車」だけではなく、「コドライバー」「サービス」など、様々な人と一緒に競技を行う、チーム競技の側面も持っています。
さらに自動車部員は、上記のモータースポーツの大会に積極的に参加するだけではありません。
「オフィシャル」と呼ばれる運営側のお手伝いもします。また大会の中には、学生が主催する大会などもあり、学生同士でモータースポーツの腕を競いあいます。
一口に自動車部といっても、活動は多岐にわたるのです。
上記のような競技に出るためには、毎日の作業が欠かせません。そもそも自動車部員のほとんどが、約20年以上前の古い車に乗っています。だから作業のための設備が、自動車部にはたくさん備わっています。
まず作業場所として欠かせないのが「ガレージ」です。
普通に車を入れて作業できるスペースと、車を台の上にあげて、人が下にもぐって作業ができる「ピットスペース」などがあります。
ガレージ内では、競技車両としての条件を満たすように、「シートの交換」や「シートベルトの取り付け」などが行われています。また、「タイヤ交換」や「オイル交換」などの保守点検も、この場所を使って自分たちで行います。
中には天井にかかっているクレーンを使い、エンジンを乗せ換える部員もいます。難易度の高い作業ですが、歴代の先輩方は何人かやっています。
現役の部員にも、自分でエンジンを分解して中身を洗浄し、きれいな状態にリフレッシュする「オーバーホール作業」を行う人もいます。すごすぎますね。
ピットスペースでは、車の裏側である下回りを見たいときなどに使います。
ピットスペース内部
ピットでできることは様々です。
マフラーからの排気漏れチェック。車がきちんとまっすぐ進むようにアライメント調整。
雪国ならではの「融雪剤」による錆を防止するため、塗料の塗布などがあります。
これらの日常整備をきちんとすることで、古い車でもきちんと動き、モータースポーツができるようになります。
またモータースポーツでは、たくさんタイヤを使います。舗装路でも砂利道でも、通常走行とは違うタイヤの使い方をするので、消耗が激しいのです。だから「タイヤチェンジャー」が部に置かれています。
これを使ってタイヤをホイールから外し、自分たちで交換します。基本的に、自分で整備できるものはなんでも整備してしまう。それだけの整備力をつけられるが、自動車部の魅力です。
筆者自身も、タイヤ交換はもちろんのこと、ラジエーター交換やサスペンション交換などができるようになってきています。日に日に整備力がついていくのを実感しています。
車を持つということは大変お金がかかります。
例えば…
部員の車は古いものばかりなので、重課税制度が適用されます。同じ分類の新しい車の20%ほど上乗せされた金額が課税されます。
普段どこかへ行くときはもちろん、大会がある競技場までの往復200キロ、ハイオクを使う車も多いので結構かかります。
これも二年に一度お金のかかるイベントです。ふつうはガソリンスタンドなどの業者に依頼します。自動車部員は自分で陸運局にもっていって「ユーザー車検」を受けます。このおかげで車検費用は、法定費用だけになります。
自動車部員は、免許取って間もないということや、年齢が若いことから、保険料が高いです。筆者自身も15万円ほどかかっています。
このほかにも駐車場代や、部品代などいろいろお金がかかります。さらに大会のエントリー代も加わってきます。
このように自動車部員は、必要な費用確保するに、自分でできる整備は自分で行います。
ほかの大学の自動車部では「部車」と呼ばれる競技用車両があり、それを部員全員で作っていくというスタイルもあります。
しかし北大自動車部は、部員みんな一人一台車を持っています。学生という自由な時間が長い生活の中で、車を持っているからこそのメリットもあります。
特に北海道はとても広い。だから車で行くと便利なところや、車でしか行けないようなところがたくさんあります。
先日も部員全員で、支笏湖(しこつこ)というところに行ってきました。ここもなかなか道が狭く、徒歩やバスで行くのが難しいところにあります。
また、有名な小樽運河にも部員全員で行きました。
さらに部員の中には、日帰りで函館(札幌から片道約300キロ)に行く人もいます。車を持っているからこそ、気軽に遠出や旅行に行けます。これが自動車部のメリットです。
支笏湖にて
いかがでしたでしょうか。
筆者自身は、入部するまで全く車に詳しくなく、自動車部という存在も知りませんでした。しかし自動車部では実際に車に触れることで、車を構成する要素、車を取り巻く社会環境など、たくさん学べるのです。
大学で何か新しいことを初めてみたい方、自動車に興味のある方は、ぜひ自動車部に入部してみましょう。
【執筆 北海道大学自動車部】