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いつもあなたに寄り添うスピードメーター。

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いつもあなたに寄り添うスピードメーター。これを読んでスピードメーターに詳しくなろう!

スピードメーター
それは、あなたがドライビングシートにおさまってアクセルの踏力を変えるとき、
それにリニアに応じて常に動いています。
あなたが激しく踏み込めば敏感に突き上がり、
あなたの気持ちが失速すればそれを象徴するかのように落ち込みます。
その、か細くて長い針はあなたがクルマを走らせるとき、
常に目の前に鎮座し、あなたの運転を見守り続けています。
クルマのオーナーが誰になろうとも、
ラインオフ以来変わることの無いその定位置に静かに座りこんで、
クルマが走り出せば目覚め、
せっせとひたすらに自分の天命に尽力します。

S2000のデジタルメーターがスポーツマインドを掻き立てるッ!

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そんなスピードメーターについて、
あなたは詳しく知りたいと思いませんか?
少しは知ってあげないとかわいそうな気がしませんか?

このコラムでは、スピードメーターの仕組みについて簡潔にご説明すると共に、
その問題点に迫ります。

1:スピードメーターの概要

日本で生産されている一般的な普通乗用車に搭載されているスピードメーターには、たいてい160km/h~180kmh/まで目盛りが刻まれています。
ただし、GT-Rやランエボなどの、スポーツ走行を見据えた車種に限っては180km/h以上のスケールまで目盛りが刻まれていることもあります。
またこの場合に限らず、ユーザーがチューニングを進める過程でスピードメーターをよりスケールの大きいものに交換する場合があります。

たとえばEP82スターレット純正のスピードメーターは180km/hまでのスケールですが、TRDから280km/hのフルスケールメーターが発売されています。
82スターレットでこんなスピードを出そうと思ったら相当なチューニングが必要なことでしょう。 あなおそろしや。

取り付け位置はほとんどの場合ダッシュボードの運転席側上部ですが、近年ではダッシュボードの中央上部に設置されている車種も増えています。
このようなメーターは運転席と助手席の間の「センター」に設置されているので 「センターメーター」と呼ばれます。

ZVW30プリウスのセンターメーター

ZVW30プリウスのセンターメーター

KSP90ヴィッツのメーター周り

KSP90ヴィッツのメーター周り

国産車でセンターメーターを採用している車種を挙げると初代・2代目のヴィッツやプリウス、アクア、エスティマなどトヨタ車がとても多い印象です。
センターメーターを採用する大きなメリットは「コストダウン」です。
センターにメーターがあれば右ハンドルであろうと左ハンドルであろうと、同じ内装部品が多く共用できるのでコストを節約することができます。
なるほど世界中に販売網を展開しているトヨタがセンターメーターを頻繁に採用するわけです。
しかしセンターメーターには当然ながら、視点移動が多くなって運転がしづらいという大きなデメリットがあります。
安全に運転するからにはやはりスピードメーターは近いところにあってほしいですし、コストダウンのために安全が損なわれては本末転倒です。
そのためセンターメーターをモデルチェンジに伴い廃止する動きもあり、トヨタも3代目ヴィッツでセンターメーターを廃止しています。

さて、自動車の計器にはスピードメーターの他にも回転計(タコメーター)や燃料計、水温計など様々な種類があり、近年のクルマではこれらの計器類をひとつのパネルにまとめた
「コンビネーションメーター」が一般的です。
また近年のクルマのスピードメーターには、機械的に針が目盛りを指して速度を表示するもの(アナログメーター)ではなく、液晶パネルなどに数字や棒グラフなどを表示させてスピードを伝える
「デジタルメーター」も登場しています。
このようにスピードメーターには様々な形態があります。
とても面白いですね。

AP1のデジタルスピードメーター

AP1のデジタルスピードメーター

NCP160サクシードはシンプルなメーター

NCP160サクシードはシンプルなメーター

2:スピードメーターはどのような仕組みになっているのか?

それでは、スピードメーターがどのようにして速度を表示しているのか、説明していきます。
車種によって異なりますが、ほとんどの車種においては、何らかの方法で一定時間におけるタイヤの回転数を感知し、それとあらかじめ決められたタイヤの外周の長さをもとにクルマのスピードを計算しています。
タイヤの回転数を感知する方法にはいくつかの種類がありますが、ここでは最も主流な、自転車のスピードメーターと同じ「磁気センサーを用いた方式」について説明いたします。

自転車のスピードメーターでは、磁石とセンサーを用います。
磁石は車輪のスポークに貼り付けて、センサーは、車輪を挟んでいるフォークの、磁石が通過する位置に取り付けてあります。
センサーには、磁石がすぐそばを通過したときに信号を発生させる「ホール素子」と呼ばれる装置がついています。
ホイールが回転して磁石がセンサーのそばを通過するたびにセンサーが信号を発生させ、この信号が一定時間に発生する回数とタイヤの外周の長さから計算して、スピードメーターに表示させているのです。
自動車の場合、センサーはホイールにではなく、エンジンのクランク軸やミッシッョンなど、ドライブトレイン系の何らかの軸に取り付けられている場合がほとんどです。
ミッション降ろしを経験されている方ならば、「車速センサー」のカプラーを引っこ抜く経験をされていることが多いのではないでしょうか。
車速センサーはドライブトレイン系のシャフトの回転と共に回転するようになっており、それによってセンサー内部の磁石が回転速度に比例してパルス波を発生させ、制御回路にパルス信号を送る仕組みになっています。

デジタルメーターの場合はこのパルス信号をもとに様々な情報を表示することとなりますが、アナログメーターの場合には、このパルス信号をさらにIC回路が電流信号に変換させて交差コイルに送り込みます。
この交差コイルは2つのコイルから構成させており、2つのコイルに電流が流れることでそれぞれのコイルが磁界を作りだし、その合成磁界の方向に磁石が回転することになり、その磁石に取り付けられた指針が動いて、表示盤にスピードを示すこととなります。

磁気センサーを用いた方式の工程の図解

磁気センサーを用いた方式の工程の図解

上記の図は、磁気センサーを用いた方式の工程をイラスト化したものです。
この図は、アナログメーターの場合となります。

① トランスミッション(例)につなげられた車速センサーが回転し、パルス信号を発生させる
② IC回路が受け取ったパルス信号を電流信号に変換させる
③ 電流信号を受け取った交差コイルが回転する
④ 交差コイルに取り付けられた指針が動いて、スピードを示す

(タイヤがやたら激しいですがあまりスピードは出ていません)

スピードメーターが速度を表示する仕組みをシンプルに説明しましたが、 おわかりいただけたでしょうか。
普段なにげなく見ているスピードメーターにも愛着が湧いたと思います。
しかしこの仕組みには大きな問題点があります。

3:スピードメーターの問題点

車速センサーを用いてスピードを計測する仕組みには、
「タイヤの大きさが変化すると(タイヤの外周の長さが変化すると)測定したスピードと実際に出ているスピードとの間に誤差が生じる」
という決定的な問題点があります。

ホイールをインチアップしたり、幅や扁平率の異なるタイヤに変更したりすると、必ずこの問題は発生します。
また全く同じタイヤサイズであっても、タイヤの銘柄によってもタイヤの外周は異なりますし、同じタイヤを履き続けたとしてもタイヤが擦り減れば当然ながらタイヤの外周は変化してしまいます。

どのくらいの誤差が発生するのか、例を挙げて計算してみます。
純正のタイヤサイズを185/60R14として、あなたは
「16インチにインチアップしたい!?」
と考えたとしましょう。

タイヤの幅・外周の変化は最小限に抑えるとし、スピードメーターが「40km/h」を表示するように走行したとき、“純正のタイヤサイズ”と“変更後のタイヤサイズ”で実際のスピードにどれくらいの差が出るのか比較することとします。

純正サイズである「185/60R14」のタイヤ外周の長さは577mmで、 このときの実際のスピードは当然ながら時速40km/hです。

16インチにインチアップしたとすると選ぶサイズは「195/45R16」となります。
この場合タイヤ外周の長さは581mmとなり、純正のタイヤ外周より4mm長くなり、 スピードメーター上で40km/hで走行した場合、 実際に出ている速度は40.2km/hとなります。

このようにタイヤの外周が長くなると実際に出るスピードは、 スピードメーター上のスピードよりも速くなります。

さて先ほど、タイヤサイズを純正から変更しなくてもスピードメーターには誤差が生じると説明しましたが、 誤差があまりにも大きすぎるとスピードメーターの意味がなくなってしまうため、 許容される誤差の範囲が法律で定められています。

車検のたびにスピードメーターのチェックが行われ、検査のときには40km/hでスピードメーターに表示されているスピードと実際に出ているスピードとの誤差を確認します。
しかし許容される誤差の範囲はけっこう大きく、30.9km/h~42.55km/hの範囲でOKなようです。
ちなみにどのような誤差の傾向があるかというと、スピードメーターの方が実際に出ているスピードよりも速い速度を示すことはあっても、その逆はあまりないようです。
これまでに雑誌の企画などで数多くの最高速トライアルが行われてきましたが、どの試験においても実際のスピードの方がスピードメーター上の速度よりも遅かったようです。

最高速トライアルではガッカリすることかもしれませんが、安全面においてはよいことではないかと思います。
スピードメーターでは40km/hだけど実際には60km/hも出ていたら危険ですが、その逆なら安全になるでしょう。
このようにスピードメーターは完全に正確なわけではなく、実はお茶目な一面もあるのです。

AP1:S2000のステアリングから見るメーター

AP1:S2000のステアリングから見るメーター

UP20D:パブリカのメーター周り

UP20D:パブリカのメーター周り

4:まとめ

いつもあなたのそば(?)にいるスピードメーターについて簡潔に説明してきましたが、
いかがでしたか?
他の計器類とまとめられてコンビネーションメーターになったり、
表示の仕方がアナログからデジタルになったり、
はたまたダッシュボードの中央に配置されたりと、
スピードメーターは時代の流れに応じて様々な形態が試され、進化してきました。
今後もスピードメーターには様々な工夫が凝らされてさらに変化し、
速度を刻一刻と示し続けていくでしょう。
スピードメーターがクルマを安全に巡航させる上で必要不可欠な存在であることは、
今後も変わりないのですから。

(執筆:広島大学自動車部)

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