こんにちは!広島大学自動車部です。
突然ですが皆さん、車のお手入れはお好きでしょうか?
筆者は、とても好きです。
車を大切に乗りたいと思っているので、定期的に洗車を行うようにしています。
しかし、ついに気づいてしまったのです。
いくらきれいに洗車をしても、落ちないものがあるということを。
そう、ヘッドライトの黄ばみと傷です。
下の写真1と写真2をご覧ください。
大きく入ってしまった傷や、遠くから見た黄ばみのひどさ。
ボディーがいくらきれいでも、車のヘッドライトがくすんで見えては、きれいだとはいいがたいです。
なので、この記事ではヘッドライトをDIYで磨いてきれいにするとともに、そもそもヘッドライトが黄ばむ原因は何なのかを、知っていくことを目的に書いてゆきます。
写真1 ヘッドライトに入った傷
写真2 気になるヘッドライトの黄ばみ
ヘッドライトは、周りが暗いときに車の前方を照らし、明るくして運転をしやすくする。また、周囲の確認がとれない状況で、他車に自車の存在を確認してもらう。
などのように、安全運転には欠かせないものです。
法律では、ヘッドライトの明るさや色などが、細かく定められています。
黄ばみが発生する理由は、以下の通りです。
ヘッドライトのカバーに使われている材料は、「ポリカーボネート」と呼ばれる、プラスチックです。
昔は、ガラス製のものが使われていました。
しかし、ヘッドライトバルブから発生させる熱量が減少したり、ガラス製だと事故の際に破片が飛び散ってしまったり、ヘッドライトのデザイン性を求めたりするなどの理由から、材質が変わりました。
このポリカーボネートという材質は紫外線に弱く、変色や硬化を起こしやすいのです。
場合によっては、ヘッドライトカバーが変形してしまったり、ひどいときには割れてしまったりすることもあります。
ヘッドライトは前面にあるので、飛び石などにより、傷が入ってしまいます。
実はポリカーボネートは、傷に対してもかなり弱いのです。
傷の中に汚れなど付着すると、変色がさらに悪化します。
新車の時には、車の全体にコーティングが施されています。
しかし、汚れや雨などによって、ヘッドライトのカバーについている、コーティングが落ちていきます。
このコーティングがはがれてしまうと、ヘッドライトカバーが、直接紫外線や傷の影響を受けることになります。
これにより、黄ばみが発生しやすくなってしまうのです。
ヘッドライトは光を出すだけでなく、熱も発生します。
ポリカーボネートは、熱に強い材質ではありますが、長時間熱の影響を受けると、もちろん劣化します。
劣化すると、変色や硬化を起こします。
以上の4点が、主な原因です。
劣化したまま放置をしてしまうと、ヘッドライトの光の量が少なくなり、ヘッドライトをつけても、新車時にくらべて暗かったり、光量が基準値に満たないと、車検に通らなかったりします。
また、ヘッドライトに割れが発生してしまうと、ヘッドライト本体ごと変えなければなりません。
ちなみにヘッドライトは、本体だけで数万円かかります。
さて、黄ばんだり傷が入ってしまったりしたヘッドライトを、きれいな状態にできないかと考えますよね。
その方法は、ガソリンスタンドやディーラーで、ヘッドライトコーティングをしてもらうか、自分で施工するかの2択になります。
ガソリンスタンドやディーラーでしてもらうと、値段は高いですが、プロに施工してもらうので、もちろん仕上がりはとてもきれいになります。
値段の相場は、およそ2万から4万円ほどです。
プロが使っている道具は、ポリッシャーとバフの2つです。
簡単に使い方を説明すると、バフにコンパウンド(下記参照)をつけ、ポリッシャーと呼ばれる機械に取り付け、バフを回転させながら表面を磨く、というものです。
その後、コーティング剤を塗り、完了します。
これらの道具は、実際にホームセンターなどに売られていますが、かなり高価なものです。
また、ポリッシャーを使う技術がないと、うまくできません。
なので、これら高額な道具を使わずに、ヘッドライトをきれいにできる道具を、3つご紹介します。
これは、ホームセンターやカー用品店で、よく売られているものです。
クリーナーと、コーティング剤が入っているものが、ほとんどです。
クリーナーのなかには、研磨剤が入っています。
研磨剤とは、油の中に細かくとても硬い粒子、または粒が入っており、それらが転がることで汚れを取ったり、傷が入った面を、平らにするものです。
日用品で例えるなら、歯磨き粉です。
この研磨剤の働きにより、傷や黄ばみを取ることができるのです。
コーティング剤は、名前の通りコーティングをするためのものです。
これを研磨剤の後につけることで、磨いた面を保護することができます。
これも、ホームセンターやカー用品店で、よく売られています。
車のボディーをきれいにするために、ワックスと合わせて買われる方もいます。
役割はほとんど研磨剤と同じです。
コンパウンドで磨いた後は、しっかりコーティング剤をつけましょう。
これは、ホームセンターで売られている商品です。
耐水ペーパーには多くの種類があり、目の荒いものから細かい物まで、用途に合わせて使い分けます。
目の荒さは「#○○」や「○○番」と表記され、○○の部分は数字が入ります。
この数字が大きいほど、やすりの面にざらつきが少なくなり、仕上げに向いています。
ヘッドライトの傷を、しっかりとりたいときに使用します。
使用後は、コンパウンドで磨き、コーティング剤をつけましょう。
今回は、ヘッドライトについた傷、曇り、黄ばみをしっかりとれるように作業を進めていきます。
もし、黄ばみだけ取りたいだけの方は、3番の作業はしなくても大丈夫です。
※素人による作業になりますので、実際に作業をする場合には十分注意しておこなってください。
・耐水ペーパー(#800, #1000, #1500, #2000をそれぞれ一枚ずつ)
・コンパウンド(粒子の細かさを選べるもの)
・コーティング剤(市販されているヘッドライトクリーナーのコート剤)
・マスキングテープ
・マイクロファイバークロス(多いほうがよいです)
・バケツ
・スポンジ
(・ゴム手袋)
ヘッドライトに付着している、砂やほこりをしっかり落とします。
この作業をしないと、後の磨き工程で傷が入ってしまう恐れがあるので、忘れないようにしましょう。
写真3のように、ヘッドライト周りに、マスキングテープで貼りつけましょう。
これはヘッドライトの端を磨くときに、車のボディー、ボンネット、バンパーを傷から保護をするためです。
写真3 マスキングテープの貼り方
ヘッドライトの傷、曇り、黄ばみを取り除いていきます。
耐水ペーパーは#800→#1000→#1500→#2000の順番で磨きます。
(#に書かれている数字が大きくなるほど、仕上がりがきれいになっていきます。)
傷が浅い場合や、黄ばみだけを取り除く場合は、#1000から始めても構いません。
耐水ペーパーの利点としては、やすりに比べて目が詰まりにくい事と、熱が発生しにくい事です。
これにより、作業がスムーズできます。
磨くうえでの注意点は二つ、水を耐水ペーパーにつけて軽く押し当てて磨くことと、ペーパーにつく水を切らさないようすることです。
また、磨き忘れが無いように、できるだけヘッドライト全体を均一に磨くようにしましょう。
耐水ペーパーの番手(#のこと)ごとに磨き終わったら、乾いたきれいなマイクロファイバークロスで、しっかりふき取りましょう。
#800や#1000のペーパーを使用する時は、傷や黄ばみを取ることを意識して磨きます。
磨いたときに出る研ぎ汁が、黄色から白色に変化するか、深い傷が消えたら、次の番手にしましょう。
#1500や#2000のペーパーでは、前の番手で磨いたときにできた傷を消すように磨きます。
利き手とは逆の手で、磨いたヘッドライトに触れ、引っ掛かりのようなものを感じなくなったら、次の番手にしましょう。
写真4~6までは、磨いたあとの画像になります。
番手の数が大きくなるほど、曇りが減っています。
#2000の時点でも、かなり白く曇っていますが、次の作業で劇的に変化しますので、進めていきましょう。
写真4 #1000で磨いた後
写真5 #1500で磨いた後
写真6 #2000で磨いた後
今回は、コンパウンドの目の細かさを分けられるものを使用しました。
仕上がりを、よりきれいにするためです。
目の細かさを分けて購入出来なかった場合は、プラスチックを磨けるコンパウンドを使っても大丈夫です。
また、3の作業を行わず、黄ばみだけ取りたい場合は、市販されているヘッドライト磨きの溶剤を使っても構いません。
コンパウンドでは、耐水ペーパーでできた白い曇りを落とすために、磨いていく作業になります。
まず、スポンジかマイクロファイバークロスに、適量のコンパウンド剤を取り、ヘッドライトに塗り広げます(写真7)。
次に、縦方向と横方向に細かく磨いていきます(写真8)。
磨いてコンパウンドがなくなってきたら、乾いたマイクロファイバークロスで、しっかりふき取ります。
目の細かさを変える場合は、耐水ペーパーで磨いたときと同様、コンパウンドの目を細かくしていくようにしましょう。
写真7 コンパウンドの塗り広げ
写真8 磨き方
写真9~11は、液体コンパウンドを使って磨いた後です。
コンパウンドの目を細かくしていく(番手の数を大きくしていく)につれて、レンズの中がはっきり見えるようになっています。
写真9 #3000のコンパウンドで磨いた後
写真10 #7500のコンパウンドで磨いた後
写真11 #9800のコンパウンドで磨いた後
最後の仕上げ作業です。
コーティング剤を塗らないと、紫外線の影響でまた黄ばんだり、劣化を速めてしまうので、必ず行いましょう。
コーティング剤をヘッドライトにつけた後は、水やほこりなどがつかないところで乾燥させます。
コーティング剤の指定はありませんが、種類によって耐久性が異なるので、自分の用途に合わせて、種類を選びましょう。
作業前(写真2)と作業後(写真12)をくらべてください。
黄ばみや傷が、しっかりとれているのがわかります。
写真12 完成
耐水ペーパーを使って、本格的にヘッドライトを磨くのは、今回が初めてでした。
想像以上にきれいになったので、満足してます。
作業中で特に印象に残っているのは、コンパウンドで磨いているときです。
耐水ペーパーで磨き終えたあと、ヘッドライトのレンズがかなり白く曇っていました。
ここから本当に、レンズ内の中がはっきりと見えるほどに仕上がるのかと、かなり不安になりました。
しかし、#3000のコンパウンドで少し磨くと、あっという間に曇りが一気に取れました。コンパウンドの目の粗さを細かくしていくと、さらにきれいになっていき、気分が高まりました。
ヘッドライトに大きな傷があったので、磨き時間は片方でおよそ2時間かかりました。
腕が疲れましたが、達成感はかなりありました。
耐水ペーパーを使わなければ、おそらくヘッドライト両方を綺麗にするのに、1時間半くらいの作業になるでしょう。
しかも、5000円程度で数回おこなえるので、安く済ませられるのも利点です。
皆さんも、ヘッドライト磨きをやってみるのはどうでしょうか。
執筆:広島大学自動車部