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トヨタ・ホンダ・日産の3社を経営分析すると見えてくる、3社の違いとは?

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トヨタ・ホンダ・日産の3社を経営分析すると見えてくる、3社の違いとは?

みなさん会社に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?
例えば自動車メーカーで考えると…
トヨタは頑丈なクルマをつくる、
日産といえばカルロス・ゴーン社長、
ホンダであればNSX...
といったように、製品の特長や経営者を思い浮かべる人が多いことでしょう。
会社のイメージはそのような製品や、ブランドなどで形成されがちです。
しかし、会社を分析しようと思ったときには製品やブランドを見ただけでは、その実態を把握することは出来ません。
そこで今回のコラムでは、各企業の財務諸表を基に「トヨタ」「日産」「ホンダ」という日本の三大自動車メーカーがそれぞれ会社としてどのような違いがあるのかを明らかにしてゆきます。

トヨタ/ニッサン/ホンダの経営状態は?

トヨタ/ニッサン/ホンダの経営状態は?

具体的には、
< 1:収益性 >
< 2:効率性 >
< 3:安全性 >
の3つの観点から、各企業の違いを総合的に分析します。
今回は2013年3月期~2016年3月期までの各企業の連結財務諸表をもとに分析・比較を行っていきます。
また2017年3月期のデータは反映しておりません。申し訳ないです...。
財務諸表は各企業HPの「投資家情報」や「IRライブラリ」といった項目から入手しました。

トヨタ自動車の企業サイトに掲載されている情報

トヨタ自動車の企業サイトに掲載されている情報

< 1:収益性についての分析 >

[ 1-1:売上高総利益率 ]
売上高総利益率は、すべての企業活動のうち、販売活動に直接関係のある購入活動・製造活動の営業結果を示す売上高を評価・判断するための指標です。
数値が高いほど製品やサービス自体のコスト優位性があり、付加価値が高いことを示します。計算式は以下のようになります。

各企業の有価証券報告書に基づきこの値を計算したところ、その値は次の表のようになりました。

三社の売上総利益率グラフ

三社の売上総利益率グラフ

この3社の中では、トヨタが最も製品に対して付加価値をつけることができており、販売・製造活動が良好であると言えるでしょう。
また、生産原価を最も低く抑えられているのもトヨタということになります。
これは規模の大きさから、原材料を大量に購入することで原材料1単位あたりの価格を安く抑えることが出来ているからでしょう。
やはりトヨタの規模の大きさは、コスト面でもライバルに差をつけている要因だと言えそうです。

[ 1-2:売上高営業利益率 ]

売上高営業利益率は、企業のすべての活動のうち、商品の購入・販売・管理活動、製品の製造・販売・管理活動といった営業活動を評価する指標です。
その値が大きいほど、企業が本業で稼ぐ力、営業力、商品力が高いことを示します。
計算式は以下の通りです。

各企業の数値は以下のようになりました。

三社の売上高営業利益率グラフ

三社の売上高営業利益率グラフ

製造業の平均が5~6%であることを考えると、トヨタの数値は平均を大きく上回っており、営業活動は良好であると言えます。
ホンダは直近の二年において値が落ち込んでおり2016年度は3.4%という結果でした。
他の二社に比べると、効率的な営業活動が行われているとはいえないかもしれません。
特にトヨタとホンダでは約3倍の差があり、これはホンダがトヨタの3倍近くのコストをかけて車を販売しているということになります。
トヨタの販売システムが、いかに効率的であるかが分かります。

[ 1-3:ROE(自己資本利益率) ]

続いて見ていきたいのがROE(自己資本利益率)です。
これは、株主自身に帰属する自己資本がどの程度の利益を獲得したかを示す指標です。
投資家が最も重視する指標の一つであり、企業はこの数値を高めるべくさまざまな努力をしています。
計算式は以下の通りです。

ROEに関しては次のような結果となりました。

三社の自己資本利益率グラフ

三社の自己資本利益率グラフ

一般的にROEは10%を超えると優良企業であると認識されるので、トヨタ、日産はそこそこ良い数値なのではないでしょうか。
東証の平均が約5%なのでホンダは平均レベルとなります。
余談になりますが富士重工のROEの値は36.9%と、とても高水準です。
株主資本からとても効率的に利益を生み出しており、非常に魅力的な株式銘柄です。
ですが、北米での販売比率が7割に及び、今後のトランプ政権の動向次第では、大きな打撃を受けることになるかもしれません。
以上、余談でした。

[ 1-4:ROA(総資本利益率) ]
次に分析する指標はROA(総資本事業利益率)です。
ROEは株主資本のみを分母に置き、株主目線で企業の収益性を測る指標でした。
これに対し、ROAは会社が投入したすべての資本(自己資本+負債)から、どれほど利益を上げることが出来ているかを評価します。
値が大きいほど、資本から効率的に利益を生み出すことが出来ており、企業活動が良好であることを示します。
計算式は以下の通りです。

各企業の数値は以下の通りです。

三社の総資本利益率グラフ

三社の総資本利益率グラフ

3社中最も効率的に資本から利益を生み出しているのは、トヨタということになりました。
並びはROEといっしょですね。
トヨタは連続してROAの値が上昇しており、事業全体で利益を生み出す体制を整えていることが分かります。
対照的にホンダは2014年をピークに数値は減少しており、資産から効率的に利益を生み出せなくなっているといえます。

[ 1-☆:収益性についてのまとめ ]

さて、これまで上記の5つの指標について、比較を行ってきました。
これまでの分析結果を考慮すると、収益性の高さは

トヨタ>日産>ホンダ

の並びになりました。
なんとなくイメージ通りでしたが、一番収益性が高いのがトヨタ、次点で日産、次いでホンダという結果になりました。
この3社の中で、収益性をもとに投資対象を選ぶとしたら、トヨタが最も良い銘柄と言えそうです。
ホンダは収益性の低さが目立ってしまいましたが、2017年度は海外生産比率が84%に達し、10年前から21ポイント上昇しました。
為替に左右されない体質が強化されることで、今後は利益率の改善が見込めるかもしれません。

< 2:効率性の分析 >

[ 2-1:総資本回転率 ]

売上高と総資産の関係を調べます。
売上高に対し会社の総資本の金額が妥当な範囲に収まっているかどうかで資本運用力の巧拙を測ります。
会社の中の資産はすべて有効に使われる必要があるため、常にフル稼働していることが重要です。
総資本回転率が低いということは資産にムダが生じているということであり、その会社が肥満体質であることを示します。

三社の総資本回転率グラフ

三社の総資本回転率グラフ

総資本回転率は1回転を超えるのが望ましいとされています。
ですが、3社とも1回転を下回っており、ある程度ムダな資産を保有しているようです。
ホンダはこの中では最も総資本回転率が高く、3社の中ではスリムな体質であることが分かります。
そしてトヨタは数値が0.60と低い水準になっています。
ムダな資産を減らし、資産をフル稼働させるためにまだまだカイゼンの余地はありそうです。

[ 2-2:棚卸資産回転率 ]

棚卸資産は在庫の適正性をみる指標です。
在庫は多すぎると資金を圧迫し、少なすぎても注文にすぐ応じられなくなる場合があります。

三社の総資本回転率グラフ

三社の総資本回転率グラフ

ジャストインタイムを掲げるトヨタが最も在庫を持っていないということが分かりました。
ですが各メーカーとも2013年度からは値が上昇しており、在庫の圧縮が進んでいることが分かります。

[ 2-3:有形固定資産回転率 ]

有形固定資産回転率は、工場や機械といった固定資産が効率的に使用されているかどうかを測る指標です。
数値が高いほど工場や機械といった設備がフル稼働していることを示しており、数値が低い場合は過大投資が考えられます。

三社の有形固定資産回転率グラフ

三社の有形固定資産回転率グラフ

この結果からホンダが有形固定資産を最も効率的に活用していることが分かります。
ですが他2社も極端に低い数値ではないので、工場の稼働は適正に行われていることが分かります。

[ 1-☆:効率性まとめ ]

全体的に最も効率的に資産を使っているのは、ホンダということになりました。
棚卸資産回転率はトヨタより数値は下ですが、年々値は改善しており在庫をもたない体質が整ってきていると言えます。
さらに有形固定資産回転率でみるとホンダが断トツで高いという結果であり、工場や設備から最も効率的に売上を上げています。
以上より3社の中で活性度が一番高いのは、ホンダであると言えるでしょう。

< 3:安全性の分析 >

[ 3-1:流動比率 ]

流動比率は、企業の短期的な債務弁済能力を評価するための指標です。
計算式は下記の通りです。

流動資産とは現金預金、受取手形、売掛金など一年以内に回収される資産のことを指します。
また、流動負債とは支払手形、買掛金、短期借入金など原則一年以内に支払う義務のある負債です。
この値は、高いほうが安全性は高いと言えるものの、高すぎると資金を効率的に運用できていない可能性が生じるので、業種平均程度であれば良好であると言われています。
製造業の平均は150%程度となっています。
それでは3社の値について見ていきます。

三社の流動比率グラフ

三社の流動比率グラフ

以上より、流動比率でみた短期の安全性は日産が最も高いです。
いずれの3社も、100%以上の値があるため、短期での倒産リスクは低いことが分かります。
特に日産はこの3社の中では断トツに高い数字を誇っています。
短期的な財務の健全性は日産が最も優れているということが分かります。

[ 3-2:自己資本比率 ]

自己資本比率とは、総資本の内にどれほどの自己資本が使われているかを示す指標で、企業の長期の安全性を測るうえでは有効な指標です。
計算式は以下の通りです。

自己資本とは、返済の必要がない資本であるため、この比率が高いほど安全性が高いということになります。
各企業の自己資本比率の数値は以下の通りです。

三社の自己資本比率

三社の自己資本比率

自己資本比率の高さに関してはホンダ、トヨタ、日産という順番になりました。
この中では日産の数値がやや低いものになっています。
さらに、日産の数値は年々減少しており、長期的な財務健全性が年々低下していることが分かります。
短期的な健全性では最も優れていた日産ですが、他2社よりも長期的な投資には慎重にならざるを得ないかもしれません。

[ 3-3:固定比率 ]

固定比率は、現金化に時間を要する固定資産と、返済の必要がない自己資本との割合を示した指標です。
固定資産の回収期間は1年を超えるため、可能な限り借入に依存しないで購入することが望ましいです。
この比率は100%以下ならば自己資本のみで固定資産を賄えているということであり、数値が低いほど安全性が高いということになります。

三社の固定比率

三社の固定比率

固定比率が最も良好なのは日産、次いでトヨタ、ホンダという並びになりました。
ですがこの3社は固定比率の数値が全て100%を超えてしまっており、固定資産を借入によって調達しているということになります。
この数字を見る限りでは3社ともあまり良い状態であるとは言えません。
3社とも自己資本の充実・固定資産投資の縮小等も検討することで、固定比率改善につとめるべきでしょう。

[ 3-4:固定長期適合率 ]

固定長期適合率は、自己資本と固定負債の合計である長期資本によってどれだけの固定資産が調達されているかを示す指標であり、固定比率の補完的な指標として用いられます。
長期資本によって固定資産が調達されている限り長期の安全性は良好であることから、この比率は100%以下であることが望ましいです。

三社の固定長期適合率

三社の固定長期適合率

さきほど紹介した固定比率は3社とも100%を超えており、あまり状態が良くないという話をしました。
ですが、この固定長期適合率でみるといずれの企業も100%を下回っていることが分かります。
これは、固定資産への投資を実施する際に、自己資本では調達できない分を固定負債に頼っているということになります。
一応、固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%以下であるならば長期的なリスクは低いと言えます。
つまり、先ほどは状態が良くないという分析に至りましたが、実際には3社とも長期的には安全であるといえます。
固定長期適合率は80%以下であると良好であると言われているので、この中では日産の値はとても優秀であることが分かります。
ですが、より長期的な視点に立った時には、先ほどと同様に自己資本の充当・固定資産のスリム化により固定比率の改善に努めるべきでしょう。

[ 3-☆:安全性まとめ ]

短期的な安全性が最も高いのは日産であると言えます。
流動比率は150%を超えており、1年以内での資金ショートの可能性は最も低いでしょう。
トヨタ、ホンダも流動比率は100%を超えていますので、こちらも短期間での資金ショートの心配はなさそうです。
長期的な安全性に関しても日産が最も安全であると言えます。
固定比率、固定長期適合率は日産が最も良好ですし、自己資本比率に関しても単体で見れば3社とも50%ほどになります。
つまり子会社の中に自己資本比率が少ない企業が含まれており、日産自動車単体で考えたときはそれほど自己資本比率の値が悪いわけではないのです。

以上より財務的な安全性は日産が最も良好であると言えるでしょう。

<まとめ>

いかがでしたでしょうか?

同じ自動車メーカーでも収益性・効率性・安全性においてそれぞれ少なからず差があるのだということが分かってもらえたでしょうか。
このコラムで一番伝えたかったことは、財務諸表を用いることでそれぞれの企業の違いをより理解できるようになるということです。
利益率に問題があるのか?
倒産リスクはあるのか?
在庫は過大でないのか?
等々の疑問は、企業の財務諸表を見ることですぐに明らかになります。
私自身、今回のコラムを書くまでホンダの利益率が低いことを知りませんでしたし、日産の安全性が高いことも知りませんでした。
製品の違いだけでなく、会社そのものの違いに気付くのもなかなか面白い経験でした。
機会があれば部品メーカー、タイヤメーカーの比較なども今後取り組んでみるのも面白いですね。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。

(小数第二位を四捨五入)

(執筆:名古屋大学自動車部)

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