国内で活躍する輸入車たち(2)~輸入車の分類と特徴について~
輸入車には、法的なものではありませんが、便宜上、正規輸入車と並行輸入車に大きく分類されています。どちらも同じ輸入車ではあるのですが、取り扱いや価格など、いくつかの違いがあるのが特徴です。
ここでは、輸入車の分類、特徴についてチェックしていくことにしましょう。
輸入車の特徴的なエンブレム
日本で公道を走る自動車は型式認証を必要とします。自動車メーカー等が新型車の製造や販売を行うためには、国に届け出を行い、その車両の保安基準の適合性等について審査を受けなければなりません。型式の指定もその時に受けます。もちろん安全性や環境性能など申請も必要とし、それらを国土交通大臣からの認定を必要とします。つまり、正規輸入であろうが、並行輸入であろうが、日本国内で認定された車両である必要があるのです。
つまり、正規のインポーター(ディーラーなど)が輸入をしたものであっても、申請が認定されなければ、国内の公道を走れないということになります。なお、型式の認定には以下の三種類があります。
・型式指定自動車
(一般の量産された自動車で均一な性能が保持されるので現車確認を省略できる)
・新型届出自動車
(大型車両やバスなどの商用車は架装仕様が多様なので現車にて基準適合性審査される)
・輸入車特別取扱自動車
(輸入台数の年間台数が2,000台以下)
これらで分類されるものを便宜上「正規輸入車」(ディラー車)と呼び、それ以外の輸入車(型式だけで認定されない自動車)を「並行輸入車」と呼ぶのです。
正規輸入された自動車
様々な型式が存在する
正規輸入車とは輸入自動車のうち、日本で型式指定を受け、正規インポーターが販売している車両のことを指します。日本で型式認定を受けるためには、日本の仕様に合ったものでなければならず、輸入前に日本の検査に合格できるような仕様に変更されていることが多いです。
ディーラーなどの正規販売業者が契約元の海外ブランドの製造者(海外自動車メーカー)から直接日本での販売契約をしてインポート(輸入)するので、ディーラーならではの手厚いサポートを受けられることが多いとされています。
並行輸入車の定義は、いくつかありますが、厳密には日本で前述の型式認定を受けることのできない車両を指す場合が多いようです。
ただし、型式認定を受けられないというのは、決して車両が日本で走行する条件に合っていないということではありません。たとえば、すでに日本で正規のインポーターが正規輸入車として販売していたものと全く同じものを個人、正規以外のインポーターが輸入しても並行輸入車と呼ばれます。
これらは、まったく同じものであっても、日本ですでに登録されている型式として取り扱われることはありません。正しくは「指定自動車と同一」または「類似」という扱いとなり、同じ車両であっても、型式が微妙に違うものとして登録されるのです。
並行輸入車の面倒な点は、まったくの同型で自動車を複数台輸入しても、すべての車両において保安基準の検査を受け、合格させなければならないという点です。仮に日本ですでに登録されている型式のものであっても、一台ずつの認定が「原則として」必要となります。(一部例外があります)
ただ、現状としては日本でまだ型式登録をされていない、要は「珍しい」車種を並行輸入することが多いため、結局、一台ごとの認定が必要となることが多いです。
さらに、並行輸入する車は、道路運送車両の保安基準に適合させなければならず、指定自動車と同一であっても騒音や排ガス規制をクリアーする事を証明する書類を提出しなくてはなりませんし、指定車種と類似する場合なら指定自動車と相違する点を資料として提出しなくてはなりません。もちろん、日本では見られない珍しい自動車を並行輸入させる場合には、自動車通関証明書の写し、車両緒元概要表、外観四面図、原動機等に関る資料の4つは最低必須書類ですし、必要に応じて、製造年月日判定資料、シリアル番号等の解説資料、騒音規制適合性、排気ガス試験結果、技術基準適合証明、消音器の加速走行騒音規制適合証明、熱害試験結果、その他保安基準適合証明等々の書類をもって、新規検査を受ける事になります。
並行輸入された自動車は、その車検証の型式が「不明」と登録された場合は職権打刻されます。以前は刻印ポンチを手作業で打ち込んでいましたが、2009年7月からはレーザー打刻製の金属プレートを貼りつける方法に変更されました。「不明」となされない場合とは指定自動車(ディーラー車)と同一、もしくは類似しているとなされた場合で、その場合の車検証の型式の最初と最後には「‐(ハイフン)」で囲まれる事になります。つまり並行輸入車の見分け方として、「不明」や「‐(ハイフン)」で囲われた車検証の自動車は並行輸入ということになります。ちなみに正規輸入車には排出ガス規制の識別記号が付与されています。
GF-6NAHW(VWポロ)の型式。正規輸入車なので、排出ガス規制記号“GF”がある。
並行輸入の場合は、“‐6NAHW‐”と、「‐(ハイフン)」が型式前後に記される。
なお、並行輸入車は海外ブランドから直接輸入するのではなく、海外にある正規代理店や特約店などから輸入し、販売しているのも特徴です。この点も、ブランドから直接輸入、販売する正規輸入車との一つの違いとなります。
同じ輸入車なのに、そんな違いがあるなんて…と思ってしまいがちですが、正規輸入と並行輸入にはそれぞれメリット、デメリットがあります。
(1)正規輸入車
メリットとしては、ディーラーが存在するため、メンテナンスなどの作業が比較的楽になることが多いです。インポーターによっては日本のディーラーと変わらない手厚いサポートをしてくれるところもあります。
逆に、デメリットに挙げられるのは、購入する際の費用が高くなることが多い点です。ただし、その時の為替レートや車種によって異なります。ただし、あまりディーラー購入を考えている人にとって、費用はあまり問題にしないことが多いようです。
(2)並行輸入車
並行輸入車を購入するメリットとしては、何よりも費用面が第一に挙げられます。正規輸入車よりも費用が安く抑えられるのが魅力で、さらに、輸入車ディーラーで扱っていない車両も手に入ります。
ただし、日本で型式認定されていないということは、それだけ流通量が少なく、メンテナンスに苦労することが多いです。外国産車は部品を交換する前提で車両を作っていることもあり、何かと部品を入手するのが大変になることもあります。
また、型式が同一、あるいは類似と認定されていたとしても、同じ車種を取り扱っているディーラーに持ち込んでも、メンテナンスを受けられないことも…。並行輸入車を購入する時には、しっかりと修理やメンテナンスを引き受けてくれる工場を探しておくことが大切になります。
日本では見かけない珍しい産業自動車
日本と外国では、排ガス規制や保安基準が異なる
どちらも輸入車であることには間違いありませんが、型式の分類や費用面、車両の取り扱い面で違いが出てくるのが、正規輸入車と並行輸入車です。分類上は、どちらも外国産車であり、日本で正式な登録をすませば、国内の公道を走ることもできます。
どちらにもメリット、デメリットがあるので、輸入車を検討する場合には、どちらから購入をするのかをよく考えるようにしましょう。
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