自動車スクラップに使用されるプレス機について
我々が “スクラップ” と聞いてまず想像するその形は、まるで洗濯されて水を含んだまま ギュッと絞られた衣服のように鉄の塊がペシャンコになった姿ではないだろうか。
自動車があそこまでにコンパクトになってしまうのだから、一体どれほどの力が加わっているのだろう。そして、それが可能な機械とは一体どんなものなのか、気になるところである。
そもそも単純にプレス機といっても 目的や用途によって大きさや形状はかなり変わってくる。
リサイクル業を生業としているこの業界において、自動車に限らず、様々な金属処理を行う際に使用するプレス機には、性能、安全性は言うまでもなく、操業コストなど重要な選定ポイントがいくつもある。そういった理由からも、多種多様なリサイクル業界においては、業種や工場の規模、生産性を考慮した上で、各業者が自社の業務内容に適した機械を導入する必要があるといえるだろう。
では、自動車廃車業に適したプレス機というものは一体どのようなものになるのだろうか。それを考える前に、自動車のスクラップ工程では、他の金属処理には見られない デリケートな問題 をクリアする必要がある。自動車を金属の塊として廃車処理する際に、その中身の複雑性から、単純に引き取ってきた自動車をプレスにかけて潰して終わりという訳にはいかない。その前に自動車リサイクル法に基づきやるべき工程が幾つもあるのだ。
例えば、車輌の中に残った自動車エアコン用の冷媒ガスであるフロンガスを回収し、回収したフロンガスを無害化処理するために、専門のフロンガス破壊施設へ提出しなければならない。その他の処理として、SRSエアバッグの車上作動処理もしくは取外し処理を行う必要がある。
また、引き取ってきた自動車にガソリンなどの燃料や、いわゆる“廃液”と呼ばれる古くなったエンジンオイルやフロントガラスやエジエターの水(ロングライフクーラント:LLC)等の残存している廃液類を抜き取る必要がある。
さらには、各部品の解体も待っている。自動車が資源の塊と言われる所以は何も鉄のことだけではない。タイヤやエンジンやミッション、また多くの制御用電子機器など、様々な部品から成り立っている自動車という精密機械には再利用できるパーツが沢山あるのだ。そして、ここまでの工程は手作業 であったり、自動車スクラップ解体機(ニブラー)というショベルカーに似た重機を使用して行わる。つまり、廃車のスクラップ工程において、プレス機が登場するのは抜き取るものを全て剥がされた後、最後の最後というわけである。
さて、話をプレス機に戻そう。
現在の自動車廃車業界において主に使用されているプレス機は先日フジテレビ系列のバラエティ番組「ほこ×たて」にも登場し、話題となった「サイドプレス機」や「ハードプレス」と言われる“三方締めタイプ"のものだ。
こちらの大きな特徴としては据置き型なので基礎工事の必要がなく、シンプルでコンパクトな形状、一体構造で導入から即運転が可能な点で、コストも余計な工事費等がかからない分、従来の3分の1程度 で済む。仕様はプレス機に廃自動車を投入し、およそ300tの力で上からプレスした後、横方向からと後ろ方向から更にプレスするというごくごく単純なものだが、生産性を求める自動車処理業界では無駄な工程がなく、プレスできる事で保管場所の確保や流通コストの削減というところからも高評価を得ている。また、最近では移動式のものまで登場して、屋外の設置や場所を選ばないという理由から多くの廃車業者から人気を集めている。
このような画期的なプレス機は今後激化が予想される自動車処理業界の中で更に需要を伸ばしていくことが予想され、そのたびに進化を遂げていくであろう。
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)