雪道のプロ(北大自動車部)による雪道の走り方講座
秋も深まり寒い季節がやってまいりました。
この文章が公になる頃には部室前では後輩たちがせっせと雪かきしているのでしょうか。
どうも北大自動車部です。
冬といえばウィンタースポーツ!自動車部ではスノーラリーなどが思い当りますが、一般の方にしてみればやはりスキー・スノーボードですね。
しかしスキー場までの道はアイシーな路面になっており、やはりスタッドレスタイヤを装着していても舗装路のように走れるわけではないので、ドライバーは普段の道以上に緊張しながら走ることになります。
特に冬道をあまり経験しない本州の太平洋側の方々などにとってはわずかなスリップをも恐れながらぴりぴりしながら走ることになるでしょう。
しかし、そんなあなたもこれを読めばもう大丈夫!
一年のうち半分は言い過ぎましたが、それに近い期間冬道を走っている我ら北大自動車部のこの記事を読んで冬道マスターになりましょう!
こんな道を周りの車は70~80kmで走っていたりする。こわい
まずは運転技術云々より冬道に備えての準備です。
冬道というのは舗装路と違い色々な危険があります。
その為の備えとして持っておくと便利なものがいくつかあります。
うちの部では本格的な冬が始まる前に冬道を走るときに車に積んでおくものを確認し、それを揃えること義務としています。
その品の数々を今からご紹介します。
①スタッドレスタイヤ
何事も固めるのは足元から!
ということでスタッドレスタイヤの選び方からです。
うちの部では1年目の人が自分の車用に初めてスタッドレスを買うときは
“国産の1年落ちまでの新品“
と決まっており、しかも国内メーカーの中でも“ブリヂストン(Bridgestone)”“ダンロップ(Dunlop)”“ヨコハマ(YOKOHAMA)”の中から選ぶこととなっております。
ちなみに僕が買ったときはこの3メーカー限定というのが周知されておらず一番安価であったトーヨー(TOYO TIRES)製を選びました。
ではトーヨー製だったから全然効かなかったのかと言われればそんなこともなく、恐らく普段の街乗りレベルではどこのメーカーでも大差ありません。
ちなみに上述した通りスタッドレスを履いたからと言って舗装路のように安心して走れるわけではないです。
滑るときは滑ります。
去年先輩(少なくともトーヨー製ではなかったと思う)と僕とで並んで走っていた時アイスバーンで先輩が滑ったところで僕も同じように滑りましたので、恐らくメーカー毎の大差はないでしょう。
ただまた別の先輩のブリヂストンの2年落ち程のタイヤを触らせてもらったとき新品のようなゴムの柔らかさがあったので、値段の差は耐久性には違いはあると言うことですね。
また最近では“ナンカン(NANKANG)”や“ハンコック(Hankook)”などのアジアンタイヤのスタッドレスも出てきていますが、ネットの評判ではわりといいみたいです。
でも部内ではあまり使っている人を見ないので、やはり上記の三社を選んでおけば良いでしょう。
事故ってから後悔しても手遅れですからね。
それからスタッドレスタイヤというのは、普通のタイヤと違い溝の深さより“ゴムの柔らかさ”によって効きが変わってきます。
保存状態にもよりますが3年から5年程が買い替えるスパンになります。
毎シーズン履くときはゴムの柔らかさを確認してから履きましょう。
保存する際はラップに巻いて室内保存がベストです。
しかし、それはなかなか難しいので雨風が防げるような場所でカバーをかけて保存しましょう。
あと柔らかさ以外にもタイヤの端の部分の山も関わってきます。
この部分、新品では角ばっているのですが、これが丸くなってくると買い替えの時期です。
中古でスタッドレスを買う際は“メーカー”“製造年”“端っこの溝”を基準に選んでいけば良いでしょう。
あとサイズですが基本的に純正タイヤか今履いているものと同じが良いです。
しかし、WRCラリー競技を走るラリーカーが雪道を走る場合は、細いタイヤの方が路面への圧が高まるので、細いタイヤの方が有利と言われています。
真似てみて、一回り小さいものを選んでも良いでしょう。
もちろんですがインチが小さいものの方が安価に済みます。
新品スタッドレス
古いスタッドレス
上記のタイヤ画像の新品タイヤと、使い古したタイヤの見ると、古いタイヤは角が丸くなっているのが一目瞭然ですね。
②スノーブラシ
これは冬道を走るときというより雪の降る場所で車を駐車するときにあると便利なもので、車の上の雪をどけるものです。
傷がつかないようゴムやブラシの部分があり雪下ろしには大活躍です。
これが無いと手でどける羽目になり非常につらい思いをします。
ちなみに北海道では冬に車を出すときはまず車の上の雪を降ろす作業から始まるので、集合時間があるときは時間に余裕をもって家を出ます。
なので、降雪のあるところで一泊して次の日用事があるときは時間に余裕をもって起きることをおすすめいたします。
③雪用ワイパー
これも冬道を走るときというよりかは水がすぐ凍ってしまうような寒いところを走るときには必須のものです。
僕も、北海道大学に通学してからの冬に、夏用ワイパーを使ったことが無かったのでイマイチ雪用ワイパーの効果を知らなかったのですが、ネットで調べたところ夏用ワイパーだとワイパーがふき取った雪および水がワイパーの上で凍ってしまい、それに雪が固まっていきワイパーの意味をなさなくなってくるそうです。
従いまして、寒いところを走ることがあるのならば変える必要があります。
夏用のワイパー
冬用のワイパー
夏用は、ワイパーのゴム部分と本体の間が空いており、ソコに雪や氷がつまります。
一方の冬用ワイパーは、ビニールのようなもので覆われています。
また、ゴムも気温の低下でも性能が低下しないように柔らかいゴムが採用されているので、夏場の炎天下だとゴムが融けていまいます。
④スノーヘルパー
ここからは冬道を走るときにはあった方がよいアイテム達です。
まず冬道を走ることで起こる可能性が出てくるのが“スタック”です。
僕は、最初の車から今まで4WDしか乗ったことがないので、冬の稚内で猛吹雪の日に、雪の吹き溜まりで、亀(タイヤが接地せず空回りする状態)になったことしかないですが、他の部員の2WD、特にFRは部室前でもよくスタックしています。
そんな時に活躍するのがこのスノーヘルパーです!!
板状になっているこの器具は、FF車なら駆動輪の前輪に、FR車なら駆動輪の後輪に、かませることでタイヤの空転を抑えて滑るところから脱出させることができます。
お値段もカー用品店で2500円位で売っているのでお手軽です。
もしスノーヘルパーがないと、周りに牽引してくれる車が無い場合は、人力で押すぐらいしか脱出法がなくなるので、かなり大変ですからね。
⑤スコップ
これは普通に走っている分にはあまり使わないかもしれないですが、スリップして雪に突っ込んだ時などに有用です。
モフモフの雪山に突っ込むと車両にダメージはほとんど無いのですが、突っ込んだところに雪が覆いかぶさり脱出が困難になるので、その大量の雪をどかすために使います。
ちなみに稚内で亀になった時も、スコップで車の下付近や、タイヤ辺りの雪を取り除いて脱出しました(笑)
部内ではスコップというかシャベルぐらいの大きさが望ましいようです。
⑥牽引ロープ
何のためかは大体お分かりでしょうが、スタックしたときに引っ張ってもらうためです。
上のスコップでも抜け出せなかった場合、他の車にお世話になるしかないです。
ホームセンター等では大体1.5t~4t対応まで売っていますが、自分の車の車重分だけで考えて1tや1.5tを使うとすぐちぎれるようです。
切れると困るので、自動車部では3t以上を買うことになっています。
引っ張ってもらうときや、引っ張るときように自分の車のフックの位置を把握しておくと、イザと言う時にも慌てずに済みます。
変なとこで引っ張ると曲がったりしますよ・・・
⑦三角停止版
略して“サンテーバン”ってやつです。
吹雪の時は、少し離れると前の車のテールランプすら見えるどうか怪しいレベルの視界になります。
そんな中で故障したりした時などに、後続車からの追突を避けるために置きます。
これは冬じゃなくても普段から持っておいてもいいですね。
⑧誘導灯
サンテーバンと同様の理由です。
ちかちか光らせてフリフリしていると効果は絶大です!
冬の自動車部装備一式。たばこはサイズ比較用です。
画像の、左上の赤い三角形なのが“三画停止版”。
左下がケースに入っていますが“けん引ロープ”。
左から二番目の黒い丁の字型のが“スノーブラシ”。
真ん中の赤い棒状のが“赤色誘導灯”。
誘導灯の下側のが愛煙している“LARK”
右から二番目が“スコップ”。
右端の黄色い板状のが“スノーヘルパー”です。
これで部としての装備品は終わりですが、これ以外にも世間では猛吹雪の中スタックして出られなくなった時のために毛布などの防寒具を載せておくことが推奨されています。
このように冬道というのは舗装路以上に何が起こるかわからないものなので事前の準備が大切になってきます。
最近見たニュースの記事ではまともな装備(スタッドレス・チェーン)をせずに幹線道路でスタックし、道をふさいだ場合罰金を取るようになるかもしれないということが書いてあったので皆さん気を付けましょう!
さて、走るための物の準備ができたら次は心の準備です!
いきなりですが… ここで、クイズ!
正解は・・・
「降り始めの時期や溶けかけの時期、つまり雪が積もってない時期です!」
これは北海道だけではありません。
こういう時期って既に日が暮れたあたりから氷点下になったりすることがあるんです。
日中に雨や雪が降ったりして路面が濡れている状態だと凍ることがあるんです。
でも目に見えて雪があるわけではないので、ついつい舗装路と同じように運転してしまいスリップするというのがよくあります。
これは自分でもよくあり他人にもよくあるのです。
つまり自分だけでなく周りにも気を遣いながら走らなければなりません。
その為、こういう時期はいつもよりスピードを落とし、前に走ってる車がいれば車間を広めにとり、後ろが迫っていれば抜かさしてあげるなどの配慮が必要になってきます。
それとこういう時期は山の山頂付近も凍っていたりします。
少し下の方でも普通の道は凍ってなくても橋だけ凍っているということもあります。
先日富良野へ行く用事があり、峠を越えたのですが見事に橋だけが凍っていてハンドルを切ってもゆっくり姿勢が変わっていくという状態でした。
なので「道凍ってないし全然いけるやん!」と思って調子乗っていると痛い目にあうので十分注意しましょうね。
では雪が積もってたら大丈夫なのかと言われればそうとは言えないのですが、気温が高くて雪が積もってる状態、つまり地面が凍ってない状態だと案外大丈夫です。
この前札幌で予想外の時期に積雪があり、バイト先の車がまだノーマルタイヤだったのですが滑ることはほぼなく、これぐらいだったらスタッドレスなくても大丈夫なのかと感じました。
しかし、こんな状態は1年いや2年を通しても滅多にないので、やはりスタッドレスは必要不可欠ですね。
11月末某所にて。街中は除雪されていて安心できるかといえばそうでもなく、アイスバーンになっていたりするので油断は禁物。
同日某峠にて。これぐらい積もっていた方が逆に安心できる。
ここで地面が凍っているかどうかの確かめ方をお教えしておきましょう!
まず簡単なのが、
・ハンドルを左右に軽く振ってみる
普通の路面ですとそれに追従するように車が動きますが、凍っていますと遅れて振れたり、振れる量が少なかったりします。
凍っていると分かった場合は本当に危ないので直ちにゆっくり(ここ重要)と減速してください。
他にもサイドブレーキを引いてみる(徐行時)や、急ブレーキを踏んでみるなどがありますが、上記の動作は周りに車がいたりすると危ないので、できるだけ場所を選んで行ってください。
ここからは雪道でやってはいけないことです!
雪道ではスリップしないように走行することは大事なのですが、心の奥底で持っていてほしいのがスリップしちゃうものであるということ。
これを持っているだけでいざスリップしたときの心に違いが出てきます。
ではスリップしたときにどう対処すればいいのか??
まず一番やってはいけないのがブレーキを踏み続けること。
ある程度減速することも重要なのですがそのまま踏み続けると曲がらずにまっすぐ進んでいきます。
ならばどうすればいいか?
ブレーキがだめならアクセルを入れてやるのです。
といってもベタ踏みするわけではなく今まで踏んでいた量よりちょっと緩めて適宜ハンドルの調整をしながら曲げていきます。
ここで慣れてくるとサイドブレーキを使って無理やり車の向きを変えるとかいう方法もありますがそこら辺は奥の手ということで。
とにかくブレーキを踏み続けるのだけはダメなのです。
他に街乗りで気を付けることといえば、横に雪壁(雪山)ができている状態での片側2車線道路等で左車線を走らないことでしょうか。
と言っても雪が車線の半分ほど占めていて左車線を走ろうとしても右車線にはみ出す形になりますが。雪壁があると、横方向の侵入車両からすると視界が遮られ雪壁より前に出ないと走行車両の確認ができないので、いきなりでてくる可能性があり非常に危ないのです。
なので壁ができている場合は極力右車線を走りましょう。
あと、毎年テレビで有名になっている吹雪で閉じ込められての一酸化炭素中毒。
ご存知だと思いますが吹雪で埋められた場合は、エンジンを切りましょう。
車というのは隙間が意外とあるもので気体の一酸化炭素は容易に入ってきます。
その為に上記で用意した毛布などの防寒具が必要になってくるわけです。
以上長々と書きましたがいかがでしたでしょうか。
これが公開されるころには既に雪は積もっているかもしれないですが、これからの雪道の走り方に生かしていただければ幸いです。
降雪がある前に、早めに冬タイヤを装着しましよう!
くれぐれも雪道でわざと滑らせて遊ぶとかはしないように!
調子乗ると痛い目にあいます(笑)
それではまた次の機会に~~
(執筆:北海道大学自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)