マレーシア訪問記(その3)
さて、マレーシア訪問記その3でございます。
皆様の廃車を買取りさせて頂いた中から発生した、自動車中古パーツ流通を見届けるためにマレーシアに来たのですが、初めての訪問で戸惑う事ばかり。日本の外務省ホームページで確認した所、マレーシア(Malaysia)基礎データとして、面積は約33万平方キロメートルで、日本の約0.9倍、民族の構成として、マレー系が約67%、中国系約25%、インド系約7%、宗教構成として、連邦の宗教(国教)とされているイスラム教が61%、仏教20%、ヒンドゥー教6.0%、キリスト教9.0%と、その他になっている多民族国家です。自動車の中古部品マーケットでお会いした方々は華人もしくは、華僑系のマレー人がほとんどを占めているので仏教徒なのか、ムスリム(イスラム教徒)には禁じられている豚肉を食べる方もいれば、ベジタリアン(菜食主義)を徹底している人もいて様々です。また国教であるイスラム教では禁じされている飲酒に対してもおおらかで、ハラール以外の街角のレストランではアルコール類の提供がありました。
ハラール御用達、海鮮カレー黄麺
バクテー(肉骨茶)と言う豚肉料理
ハラール印を掲げたレストラン
コカコーラ等の有名飲料にも、ハラールが
ハラール(HALAL)とは、日本ではハラルとも呼ばれる事が多いのですが、イスラム教のイスラム法上での、“合法的なモノ”などと直訳すると理解しやすいかもしれません。国や地域、宗派等でハラールを認証する機関が相違するので、中東や中近東でのムスリムとは少し違うようですが、マレーシア国内においては、イスラム法において合法であることを示す記号を用いられるので、注意していると街角のレストランや缶ジュース、玩具、家電製品や衣服にまで、そのハラールの印をみる事ができます。
しかしマレーシアのB級グルメの王様とも呼ばれる、肉骨茶(バクテー)と呼ばれる料理は、漢方の薬膳で煮込んだコラーゲンたっぷりな豚肉料理だとの前評判。食べない訳には行かないので、クラン地区(Klang Area)と呼ばれるマレーシア最大の貿易港のポート・クラン(PORT KLANG) 港に近い地区で、肉骨茶を食べました。漢方薬に用いられるスパイスを使用しているので薬膳料理とも言われていますが、ブツ切りの皮付きの豚あばら肉を土鍋で中国醤油を入れて煮込んだ料理なので、とても美味なのですが、少しくどい気がしました。
マレーシアの自動車中古部品マーケットは、クアラルンプール市内のケポン地区(Kepong Area)と、クラン地区(Klang Area)に集中していまして、世界市場から見てもU・A・E(アラブ首長国連邦)のシャールジャ首長国(Sharjah)同等クラスの規模を誇ります。また華人系の方が多いので在庫は財産とのとらえ方なのでしょうか、とにかく大量の在庫を持ち、圧倒的な販売量を確保したスタイルの商売が特徴的です。
メーカー別に保管された中古エンジン
広大な敷地面積の保管倉庫内
整然と積まれた中古エンジン
何万台分?のラック&ピニオン
数十件の、自動車中古部品販売企業を訪問致しましたが、仕入先の輸入国は日本からのものが多く、一部はニュージーランド等のオセアニア地域や、韓国、ヨーロッパ等々の世界中から自動車中古部品を輸入していました。
では、その販売先はどこかと言うと、マレーシア国内の消費は2割にも満たないそうです。残りの8割は、アフリカ諸国、南米諸国、パキスタン、ロシア、東南アジア各国等々の世界中に販売をしているとの事です。
中古エンジンの価格を商談している模様
各社を訪問して、買い付けに来ているお客様を見てみるとやはり圧倒的にアフリカ各国からの方々がほとんどです。では、なぜ日本の自動車の中古部品を日本に買い付けに来ないで、馬来西亜(マレーシア)に、買い付けに来るのでしょか?
その理由のひとつは、日本での物価が高い事でしょうか。
製造ライン工場で生産する工業規格品と違い、自動車の中古部品は、製造量の調整は出来ません。発生物なので今月は何が入庫してくるのを予想するのは難しく、アフリカ諸国の方々が日本で、同じ量の中古エンジンを集めて自国に持ち帰ろうとしても数ヵ月を要するのでしょうが、マレーシアで訪問した大手の中古部品販売業者は、21エーカー(85,360㎡)東京ドームの1.8倍以上と言う敷地面積に、5万台以上の日本から輸入された中古エンジンをストック在庫していました。
購入した商品を運搬する様子
中古部品マーケットを巡り、希望商品を探す
つまり、日本で購入するよりも、経費や時間に対する集荷効率を考えるとマレーシアに買い付けに来た方のメリットが多いという事になります。また東南アジアと言う地域は、アフリカや中近東からみても、日本の半分程度の距離である事から、物流コストに関しても優位な事が考えられます。もっとも有力業者が集まる地域は保税地区のようなフリーゾーン(Free Zone)では無いので、輸出入には税金が発生していまいます。それらを考えてもあれだけのお客様が、マレーシアの中古部品マーケットに買い付けに来る理由があるのだと考えられます。
買い付け方法も様々で、ひとつの中古部品販売会社で海上コンテナーに直接積んで買い付ける方法や、中型トラック等で各社を巡り買い付けて欲しい商品だけを集めてまわるバイヤーさん等々と様々でした。
アフリカ(ケニア)からの買付業者
購入した中古エンジンを運びます
海上コンテナーをシャーシから降ろす作業
Scania Truckに、サイドローダーを装着
クラン地区(Klang Area)では、港が近いという立地条件から、日本ではトラック貨物の最大車両総重量GVW(GROSS VEHICLE WEIGHT)に対する規制もあるのでほとんど普及していない、トレーラー架台にサイドローダーを装着した貨物も多数走行しています。サイドローダーを使用する最大のメリットである、コンテナー開口部を地面に近い位置に移動できる事で、荷役の積込み積降しを容易にしています。
Facebookページには、海上コンテナーをサイドローダーで降ろす作業を動画でアップしてあります。
https://www.facebook.com/photo.php?v=691241117616145 (廃車ドットコム:公式FBページへのリンク)
日本であれだけの在庫を持つ自動車リサイクル業者は無いと考えられますし、引続き日本からの自動車中古部品の買付も盛んに実施されているので、豊富な在庫量は今後ますます増加してゆくのでしょう。私たち日本の自動車リサイクル業者も、世界に通じる部品品質を廃車買取りからの発生でつなげて行きたいものです。
Publikaと言う高級スーパーの鮮魚市場
高級ドリアン“猫山王”を運ぶピックアップ
ラック&ピニオン (rack and pinion )の山
帰国も、ハノイ乗り継ぎのベトナム航空
今回のマレーシア研修訪問では、弊社から輸出された中古エンジンの流通を見る事が出来て同行した社員2人にも良い研修だったと思います。
また業務に励むので、再度マレーシアに来ることが出来れば良いと思いつつ短い研修を終えました。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
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