ダートラの魅力を語る前に!知っておきたい安全面とは?
こんにちは!北海道大学自動車部です。
以前のコラムで、インプレッサを華麗なダート車にする事例をコラムにしました。
今回は、ダートトライアルを行う上での色々な安全面についてみてゆきます。
ダートトライアル走行をする車
「ダートトライアル」という言葉を、ご存じでしょうか?
もしかしたら、モータースポーツファンを除いてあまりなじみのない言葉かもしれません。
ダートトライアルというのは、ダート(dirt)は土や泥、トライアル(trial)はタイムトライアルなどに使われる試技と言う意味と聞けば大体想像できますが、簡単にいうと地面がコンクリートなどで舗装されていない、土や泥や砂利でコース構成された未舗装状態のサーキットでタイムを競う競技です。
しかし、何台も同時に出走するサーキットと違い、ダートトライアルは1台ずつ出走してそのタイムで競います。
ダートラと略して言われることが多いです。
ⅰ:車両準備
まず、前後に牽引に使えるフックや穴がないといけません。
また、4点以上のシートベルトも必要です。
ボディ剛性を高め乗員保護のために装着するロールバーは、ジムカーナにおいてはオープンカーなどを除き装着推奨ですが、ダートトライアルにおいてはすべての車両につけることが義務付けられています。
これらはJAFのモータースポーツ規則なので、走行会やJAF公認でない大会などでは義務付けられてはいないこともありますが、自分自身の身を守るためにも4点以上のシートベルトやロールバーを装着することを強くオススメします。
また、ダートコースを走るので石がはねたり、轍にハマり車体の下を地面にこすったりするので車体の下に金属板を入れて車体を守ります。
これはJAF公認の大会でも義務ではないですが、車を壊さないため、またタンクなどに石が当たりコース上にオイルやガソリンを撒き散らし周りに迷惑をかけないためにもガードを入れることをオススメします。
ⅱ:持ち物
・服
レーシングシューズ、レーシングスーツ、レーシンググローブが必要です。
全日本ダートトライアルだとこれらに耐火性が推奨されます。
また、レーシングシューズ、レーシングスーツ、レーシンググローブを持ってない人でも長袖長ズボンに運動靴、軍手などで練習する人もいます。
しかしこの時練習だからと言って長袖長ズボンや軍手すらもしないと、もしもの時割れたガラス片などで怪我をしてしまうので夏場の暑い時でもしっかりと全身を守りましょう。
また事故から、より身を守ってくれるのがレーシングスーツなので、できれば着るようにするのをオススメします。
・ヘルメット
そして1番大事と行っても過言ではないヘルメットです。
これは全日本ダートトライアルでは、JAF「スピード行事競技用ヘルメットに関する指導要綱」に適したヘルメットを被ることを義務付けられています。
全日本ダートトライアルに出ないからいいやと思っている方も、万が一の場合に自分を守ってくれるものなのでしっかりしたものを選び、ちゃんと顎紐をつけましょう。
・ダートトライアル用のタイヤ
通常のタイヤには、エコタイヤやスタッドレスタイヤなど沢山の種類があります。
エコタイヤは燃費が良くなるように、スタッドレスタイヤは雪道でも滑らないようにするなど、それぞれ用途にあった特性があります。
同じようにモータースポーツにも、その競技にあった「競技タイヤ」があります。
ダートトライアルで使われるタイヤの例としてはYOKOHAMAが出しているADVAN A031、ADVAN A035、ADVAN A036やDANLOPのDIREZZA 87R、DIREZZA 92R、DIREZZA 74R、などがあります。
これらをダートトライアルコース上の、土や泥の柔らかさなどで使い分けます。
モータースポーツを始めるにあたり、サーキットやジムカーナを走る場合普段から車が履いているタイヤでそのまま走る人もいます。
しかし、ダートトライアルでは絶対に上にあげたようなダートトライアルで使われるタイヤを履く必要があります。
なぜかと言うと、サーキットやジムカーナのコースはアスファルト舗装されているからです。
さらに舗装サーキットならば一般国道などと違い、重量の重いトラックなど走らないのでアスファルトの砕石も大き目なもので舗装してありますので、一般道よりタイヤはグリップします。
しがって普段から履いている街乗りタイヤでも、ある程度グリップしてコーナーを曲がっていけます。
しかし、ダートトライアルは路面が土や泥や砂利の未舗装なので、舗装路を想定しているタイヤではグリップしません。
グリップしないタイヤでは、ブレーキを踏んでもなかなか止まらない上に、コーナーを曲がることも困難になります。
なので初心者だから、少ししか走らないからと言う方でも安全のためにしっかりとダートトライアルで使う競技タイヤを使いましょう。
ダート競技用のタイヤは、タイヤ溝で構成されるブロックが大きめです。
各メーカーともゴムの種類も違いますが、ブロックの配列パターンが違い、グリップとトラクションが得られやすいように、タイヤ溝に土や泥や砂利を残さないように排出する工夫がなされています。
ダートトライアルで使用するタイヤ
また、最近のタイヤのほとんどは「チューブレスタイヤ」と言って、タイヤの中は空気だけでチューブが入っていません。
チューブレスタイヤはチューブが無い分軽かったり、放熱性が高かったり、釘などを踏んで空気が漏れたとき一気にバーストしにくいなどのメリットが多いので、街乗りでは主流です。
しかし、ダートトライアルにおいてはホイールとタイヤの隙間から砂や石が入り、そこから空気が抜けてバーストしたり、コースの土手や、コースが掘れてその溝にタイヤが横からぶつかるとその力で一瞬ホイールとタイヤの隙間があいてしまい、そこから空気が漏れバーストしたりしまいます。
ほとんどのダートトライアル用のタイヤはチューブ無しでも組めます。
そして全日本レベルになると軽量化のためにチューブを組まずに走ったりもします。
しかしバーストするとホイールが曲がったり、タイヤが痛んで使い物にならなくなったり、最悪の場合その衝撃で車が転がっていく場合もあります。
なので、とりあえず始めのうちは手間やお金を惜しまずチューブを入れることをオススメします。
タイヤの中に組込む、チューブ
・タイヤ交換道具
ダートラに出場する際、朝早くからタイヤを交換するのが面倒くさい人。
また、車にタイヤが乗らず仕方なくダートトライアル競技で使用するタイヤのままダートトライアル場に向かう人もいます。
しかし、軟質ダートを走るようなタイヤは柔らかく舗装路を走るとすぐに痛んでしまいます。
なので、現地でタイヤ交換できるなら、現地でタイヤ交換することをオススメします。
タイヤ交換に必要なものは、十字レンチやインパクトレンチなどホイールナットを締め付けたり緩めたりするものです。
この時、ホイールナットを締めすぎるとハブボルトが折れたりする事故が起きるので、トルクレンチで適正トルクをかけて締めるのを推奨です。
また、タイヤ交換では車をジャッキアップする必要があります。
しかし、ダートトライアル場のパドックは未舗装の場合が多いです。
そして下が土の状況で普通にジャッキアップすると、車の重さでジャッキの下の地面が沈みジャッキが傾き、車が倒れてきます。
タイヤを外している時に倒れてしまうとブレーキキャリパーで地面に着地して車が痛んでしまいます。
最悪の場合では人が下敷きになってしまうこともあります。
こうならないためにジャッキの下に木の板などを敷いてジャッキを安定させましょう。
木の板を置いてジャッキアップする様子
・工具
ダートトライアルは路面が悪いので順調に走っていてもその衝撃で少し車が壊れたりします。
その時に少しだけでも工具があれば、修理できる場合もあります。
また段差などでバンパーが落ちるなどした時に、結束バンドがあるととりあえず帰るまでの間の応急処置などに便利です。
・タオルや水
ダートトライアルの競技終了後、泥水がかかりサイドミラーやガラスが見えない場合があります。
そのあと帰り道公道を走る時に見えないと危険なので、泥を落とすためにそれらを拭くタオルや洗う水があるととても楽です。
なので、雨の翌日など路面が泥であると予想できる日にダートトライアルに行く人は、ペットボトルなどに水を入れたりしたものと、タオルを持っていると便利です。
ダートトライアルは、とてもダイナミックで迫力がある競技です。
その反面、常に危険と隣り合わせです。
JAFのスピード車両規定にも多くの車両がロールバー推奨のなか、ダートトライアルだけ義務になっているところからもその危険性がわかります。
ダートトライアルは、とてもコースが滑るので曲がっていく時にドリフト状態の様に、わざと滑らせながら曲がっていくことが多いです。
その時にコーナーの内側の土手などに車を引っ掛けてしまうと、簡単に車はひっくり返ってしまいます。
またそれは、コーナーの外側に行ってしまった時も同様です。
オーバースピードのままコーナー外側の土手などに車をぶつけると、そのまま倒れてしまいます。
タイムを出したくてギリギリを攻めるたくなる気持ちを抑えて、安全に走れる範囲内でいいタイムを狙いましょう。
ダートトライアルのコースは未舗装で、土なのできちんと整備や管理されていても段差ができていたりします。
また舗装とは違い走っていくうちに路面状況が変わり、さっきまでなかった溝ができたりします。
これらの溝や段差に引っかかりタイヤがバーストしたり、車がひっくり返ったりします。
ダートトライアルは、ライン取りだけにとらわれずに路面状況を見て走ることも大事です。
車をひっくり返す気はなくても、ひっくり返ることがあります。
また他のひっくり返った車の助手席に乗っていたり、またその場面を目撃することがあるかもしれないので、しっかりと対処方法を覚えましょう。
もし車をひっくり返してしまったら…
・すぐにエンジンを止めましょう
・横転した車から、離れましょう
・後続車と接触しないような場所に移動しましょう
・可能なら後続車に事故発生を伝える措置をしましょう
なぜ、上記の措置をとるのかと言うと、横転した場合にはエンジン内部のオイルが燃焼室に入りウォーターハンマーと呼ばれる状態になる可能性があります。
燃焼室で圧縮される空気と違い、水やオイルは燃焼室では燃えることもなければ圧縮されることもありません。
燃焼室で水やオイルが圧縮されないと、圧力が逃げる場所がなくシリンダーを傷めたり、ピストンやコンロッドが折れたりするので、すぐにエンジンを止めましょう。
最悪なケースだと、折れ曲がったコンロッドがエンジンブロックを突き破ってしまうこともあります。
また、横転した車から出火してガソリンに引火する場合もあるので、すぐに車内から出て車から離れましょう。
競技中は、後続車が来る場合があります。
車外に出たら、安全な位置で待ちましょう。
そこで自分と助手席の人の安全確認をしましょう。
体調が悪ければ無理をせず、現場処理をほかの人にその場をお任せしてでも、すぐに病院に行きましょう。
事故は起きるものです…
ダートトライアルは装備を揃えるのが大変で、なおかつ危険が伴う競技です。
また悪路のコースを走るので、車を痛めつけ心が痛みます。
けどそんな競技でもダートトライアルを続ける人がいるという事は、
【 それだけ魅力に溢れた競技 】
だと言えます。
このコラムでダートトライアルの魅力についてはあまり語っていません。
なぜなら、文章におこせるものではないからです。
百聞は一見にしかず。
是非とも興味がある方には、観戦するだけでもいいのです。
【ダートトライアル】に、一度でも関わって魅力をわかっていただければ有難いです。
(執筆:北海道大学自動車部)
パーツやメタル資源として再利用し国内外に販売!
車解体の資格を持つ廃車.comの工場と直取引だから高く買取れる。
すでに払った31,600円の自動車税も返ってくる。
(4月に廃車/1,600cc普通自動車)